上限が月3,500円から7,500円に引き上げ

従業員の待遇を良くしたいが、賃上げは重い。そう考えて食事補助に目を向けても、非課税で会社が負担できる上限は月3,500円(月20日勤務で1日175円程度)だったため、これまでは導入するほどの規模になりませんでした。この上限は通達の改正で、2026年4月1日以後の支給分から、1984年以来42年ぶりに月7,500円へ引き上げられました。ただし、枠が広がっても、要件を満たす必要があります。

非課税になる要件は2つ

非課税になるのは現物の食事に限られ、現金で渡すと原則として全額が給与課税されます。要件は2つで、役員または従業員が食事の価額の50%以上を負担すること、会社負担額が消費税を除いて月7,500円以下であることです。たとえば税抜750円の弁当を月20日支給し、本人が半額の375円を負担すれば、会社負担は月7,500円でちょうど枠に収まります。この枠を超えると超過した分ではなく会社負担の全額が給与課税になります。超えるかどうかは単価と出勤日数で決まり、判定は月ごとなので、日数の多い月だけ超えることもあります。

社会保険は別の基準で見る

社会保険は所得税とは別の基準で判定され、実際の食事代ではなく都道府県ごとの告示額(令和8年度の東京都は昼食のみで1日300円)に置き換えたうえで、本人負担額がその3分の2以上であれば報酬に算入されません。食事の単価によっては、本人負担が食事の価額の50%以上という所得税の要件は満たしても、告示額の3分の2という社会保険の基準には届かず、告示額との差額が報酬に算入されることがあります。告示額は都道府県で異なるので、事業所の所在地で確かめてください。

賃上げの原資とは分けて考える

この非課税枠を最大限活用し、会社負担を月7,500円まで使うと1人あたり年9万円、改正による増加分は年4万8千円となります。同じ年9万円を基本給の引上げで渡すと、従業員に残るのは税を差し引いた後の金額ですが、所得税の要件を満たす食事補助にこの差し引きはありません。既に食事補助を出している会社は、月3,500円を前提に組んだままになっているかもしれません。導入や見直しを一度考えてみてはいかがでしょうか。

待遇改善の一手として、食事補助は1人あたり月7,500円まで非課税で出せます。

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税理士高野好史事務所(栃木県宇都宮市)

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