青申控除10万円の適用除外 大綱と条文との射程差

青色申告特別控の本年改正結果

申告方法・条件 前 後
e-Tax + 複式簿記 6565
①+優良電子帳簿 6575
書面 + 複式 5510
現金(所得≦300万) 1010
簡易(発生収入≦千万) 1010
簡易(発生収入>千万) 100

今年度税制改正において、青色申告特別控除は、その適用要件が大きく見直され、上表(単位:万円)のようになっています。

一般的解説の状況

ところで、税制改正大綱および当局解説においては、簡易な簿記による記帳を行う者の内、前々年分の収入金額が1,000万円を超える者は、10万円控除の対象外と整理されており、多くの実務解説もこれに沿った説明をしています。

具体的には、上表④の現金主義適用者の欄がなく、現金主義規定適用者を簡易簿記者⑤⑥の中に含めています。

条文における構造、大綱との射程差

 しかし、該当条文を確認すると、10万円適用除外規定の対象については、現金主義規定適用者を除くと明示しています。

 この点は、税制改正大綱では触れておらず、結果として、政策段階の整理と最終的な条文化との間に一定の射程差を生むことになってしまったことを示しています。

 すなわち、大綱は現金主義適用者の存在を無視している一方で、立法された条文の方は現金主義適用者の存在を意識して明示的に除外、という構造にしています。

そしてこの差は、解釈の範囲に収まるものなのか、疑問の湧くところです。

解釈運用で大綱との差異を埋められるか

 仮に、現金主義適用者についても収入金額1,000万円超の場合に於いては、10万円控除を排除するとの解釈を採るとすれば、「現金主義適用者を除く」との文言を実質的に読み替えることとなり、文理解釈の範囲を逸脱するのみならず、納税者に不利な方向での拡張解釈につながることになります。

これからどうなるのだろうか

 本改正部分は、帳簿水準と事業規模との対応関係を整理するものですが、税制改正大綱という政策文書と現実の改正条文との射程が必ずしも一様ではなかったことが見て取れる、稀有な事例です。

今年の改正は、優良電子帳簿促進に的を絞っています。また、改正後の租税特別措置法第25条の2の2項は否定の否定の条文なので、読みにくい。

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労働保険料の会計処理

通達による労働保険料の会計処理

 労働保険の会計処理は複雑です。更新時に確定保険料と概算保険料を同時納付することや、保険料に事業主負担分と従業員負担分が含まれることなどが要因です。また、決算期によっては事業年度と保険期間がずれる点も実務上の負担となります。

法人税法上、労働保険料のうち事業主負担分は、損金の額に算入されます。経理処理は、法人税の通達において簡便な方法が認められています。例えば、卸売業を営むA社(賃金総額2,000万円)が概算保険料33万円を納付した場合を考えます。

<A社の概算保険料の内訳>

雇用  (従業員負担0.5%) 10万円 (事業主負担0.85%)17万円
労災(事業主負担0.3%) 6万円

⑴ 概算保険料の会計処理

 通達では、概算保険料のうち従業員負担分は立替金等として処理し、事業主負担分は概算保険料に係る申告書を提出した日(又は納付日)の属する事業年度の損金の額に算入するとされています。

(立替金等)10万円(現金預金)33万円 (法定福利費)23万円

 この立替金等は、給与支払時における従業員からの雇用保険料の預り金と相殺して消去します。

⑵ 確定保険料(不足額)の会計処理

概算保険料が確定保険料に満たない場合、その不足額のうち事業主負担分は、申告書を提出(又は納付)した事業年度に損金算入します。この場合、申告書提出前であっても未払計上が可能です。A社の確定保険料36万円、不足額3万円(従業員負担分1万円、事業主負担2万円)の場合には、次のような会計処理を行います。

(立替金等)1万円 (未払金)3万円 (法定福利費)2万円

⑶ 確定保険料(超過額)の会計処理

概算保険料が確定保険料を上回る場合、その超過額のうち事業主負担分は、確定保険料に係る申告書を提出した事業年度に益金算入します。A社の確定保険料30万円、超過額3万円(従業員負担分1万円、事業主負担2万円)の場合には、次のような会計処処理を行います。

(現金預金)3万円(立替金等)1万円 (法定福利費)2万円
地味に厄介な論点ですよね。

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