退職時の有給休暇取得

未消化の年次有給休暇の取り扱い

退職する社員から未消化分の年次有給休暇を退職日まで一括して取得したいという申し出があった場合、会社はどのような対応をすべきでしょうか?

もし会社の繁忙時であり、年次有給休暇を取得されると事業の正常な運営に支障をきたすことが考えられる場合、時季変更権を使って、年次有給休暇を拒否できるでしょうか?

この場合、時季変更権の行使は労働者が指定した日に年休を取得できなくても他の時季に取得できることが前提です。退職の日まで年休取得したい場合は他の日に取得することはできないので、時季変更権は使えないものと考えられます。

労働者は年休の時季指定権を有していますが、これに対し使用者はその日が事業の正常な運営に支障をきたす場合には時季変更権を行使し有給を認めないことも可能です。しかし変更できることが必要ですので、他の日に年休を与えることが前提になります。したがって、退職日の間際に年休を請求された場合には時季変更権は使えないと解されます。

具体的な取得の仕方

退職前が会社の繁忙期に当たる、引継ぎを行ってもらう必要がある等、一括取得されると困る場合は日程の調整をして退職日を調整する、年次有給休暇の取得日を調整する等して引継ぎを行った上で年休を消化できなかった分を買い取ることは可能です。

年次有給休暇を買い取ることを前提に年次有給休暇の有効期間中に休暇を与えないことは違法ですが、2年間の取得期間の時効で未消化になった日数分の買取りは問題ありません。(この場合、未消化分の買取りをしなくてはならないということではありません)。

また、退職者の年次有給休暇取得は拒否できないものの、必要な業務引継ぎをこなした上での休暇残日数買取りは労働者側のデメリットにはならないものと思います。

「繁忙期だから休暇を取得できません」は退職時においては使えない場合があります  

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短期前払費用の取扱い

会計上の「前払費用」とは?

 今回は、決算で何かと話題となる「短期前払費用」を取り上げます。

会計(企業会計原則)では「前払費用」とは、次のように定義されています。

一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、いまだ提供されていない役務に対し支払われた対価をいう。

 簡単に言うと、継続的役務(家賃、保険料、利息など)の先払い分のことです。

このようなものは、時間の経過とともに次期以降の費用となるものです。そのため、契約期間の経過に合わせて、次期以降の費用となる金額は、当期の損益計算から除去するとともに貸借対照表の資産の部に計上します(このような継続的な契約以外の契約等による「前払金」とは区別されます)。

税務上の「短期前払費用」とは?

 ただし、税務では、1年以内の「短期前払費用」について、収益との厳密な期間対応による計算をすることなく、支払時点で損金算入を認める特例が設けられています。企業会計上の重要性の原則に基づく経理処理を税務上も認めるというものです。

 この特例を適用するには、次のような要件を満たす必要があります。

⑴ 1年以内の役務提供であること

 支払った日から1年以内に提供を受けるサービス(役務)である必要があります。

例えば、1年を超える分をまとめて支払った場合には、この特例は適用できません。

原則通り(月割計算等)となります。

⑵ 継続的な役務提供であること

一定の契約に基づき、一定期間にわたり継続的に同じ質・量のサービスを受けるものであることが条件となります(家賃、保険料、利息がその典型例となります)。

⑶ 支払が完了していること

 決算期末までに、実際に代金の支払が完了している必要があります。

⑷ 継続適用すること

一度この特例を適用した後は、毎期継続して同じ処理を行う必要があります。利益が出た年だけ節税目的で1年分支払うといった処理は認められません。

⑸ 収益との直接的な対応がないこと

例えば、借入金を預金や有価証券で運用している場合の「支払利息」などは、運用の収益(預金の利息・株式の配当など)と厳密に対応させる必要があります。したがって、この特例の適用は認められません。

念のためですが、適用要件は、確認しておいてくださいね。

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