社会保険適用拡大と「130万円の壁」対応

「社会保険適用拡大特設サイト」より

厚生労働省は4月1日に社会保険の適用拡大について情報提供を行う特設サイトをリニューアルし、令和7年の年金制度改正の内容を反映したものを制度拡大に向けアピールしています。

それによると今後の社会保険適用拡大のスケジュールが示されています。

適用拡大は段階的に設定されており、対象企業は従業員数に応じて次のように拡大適用されていきます。

51人以上:適用済

36~50人 : 令和9年10月施行

21~35人 : 令和11年10月施行

11~20人 : 令和14年10月施行

10人以下 :  令和17年10月施行

従業員数とは被保険者の人数です。

また、従業員に関しては、令和8年10月以降「所定内賃金が8.8万円以上」という要件が撤廃され、「週所定時間20時間以上」で「学生でない」パート・アルバイトも対象になります。

現在は51人以上事業所で直近12か月のうち6か月で基準を上回ると社会保険の「特定適用事業所」になります。新たに対象となると年金機構より「特定適用事業所に関するお知らせ」が届きます。

年収の見方が雇用契約書に変更された

一方で令和8年4月より健康保険の扶養の認定基準が変わりました。1年間の年収130万円未満は変わらないのですが、今まで所定外労働賃金も含んで収入を計っていたのが、労働条件通知書に記載された内容をもとに雇用契約上の時給、通勤手当などで所定労働時間から換算し、見込まれる賃金額で扶養の認定が行われることとなりました。契約段階で見込めない残業手当や賞与等は対象になりません。

さらに注意点は、

・従業員ごとに契約内容が基準未満か確認

・時間外労働が恒常化していないか

・契約と実態に乖離がないか、あれば訂正

・働き方を変える時、社保加入もチェック

残業か恒常化していれば契約の見直しと扶養の再判定が必要です。

従業員への通知

事業所の対象人数適用拡大で週20時間以上働いている人や、扶養の認定で社会保険の新たな加入対象者になる方には個人面談などで説明を行うことが重要です。

新たに社保適用になる方には丁寧に説明をしてあげましょう。

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今年の税制改正 公的年金等控除額の控除制限

高齢者の就労意欲促進策として

 在職老齢年金制度改正で令和8年4月から、年金減額基準額(賃金と厚生年金の月合計)が65万円(旧51万円)に引き上げられました。趣旨は高齢者就労促進です。

たとえば、給与月収80万円、年金月額20万円だとしたら、改正後は、(80+20万円-65万円)÷2=17.5万円になり、これが20万円の年金月額からのカット額になります。前は、全額カットでした。なお、カット額は、事後繰延べはなく、永久消滅です。

給与控除とのアンバランス緩和が趣旨

その一方で、今年の税制改正で、給与と公的年金との両方の収入がある者については、その年の給与所得控除額と公的年金等控除額との合計額に、上限が設けられることになりました。上限額は280万円で、上限控除額の減額は、公的年金等控除額から行われます。(令和9年から施行)

在職老齢年金のカットは繰延べではない。保険料は最高額だったとしても、基礎年金しか貰えないまま人生終わることもある。詐欺みたいだ。

たとえば、給与月収80万円、年金月額20万円だとしたら、給与所得控除(195万円)と公的年金等控除(110万円)の合計で305万円の控除を受けることになりますが、同じ1,200万円の収入のすべてが給与だけの場合の控除額は195万円のみです。ここに不合理があるとの趣旨です。

年金カットされたら上限控除にならない

 ところで、上限の280万円前後の層とは、年金を受取りながら、しっかり給与を得ている層ですが、その人たちは、在職老齢年金制度により年金収入が相当カットされている人たちです。カットされているので、上限制限の対象になる年金控除額などなくなっているはずです。

 それでは、今年の改正は、在職老齢年金での年金カットをうまく潜り抜けている人が対象なのでしょうか。それもあるでしょうが、それだけではないと思われます。

大企業や公務員系統の受給者が対象

 280万円控除制限のターゲットは、在職老齢年金制度で年金カットの対象になっている2階建て部分の厚生年金ではなく、その対象になっていない企業年金(3階建て)、私的年金(4階建て)だと思われます。

在職老齢年金の支給カットは、2階建てまでしかない、中小企業関係受給者に大きな打撃を与えていましたが、3階建て4階建ての年金のある大企業や公務員系統の受給者には、その影響が相対的でした。その2階建て以外の年金にも標的を向けだした、というのが今年の改正の内容です。

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