在職老齢年金の支給停止調整額アップによる厚生年金への影響

在職老齢年金とは?

在職老齢年金とは、厚生年金の被保険者かつ受給者の「加給年金を除く老齢厚生年金の月額と標準報酬月額+過去12か月に支給された賞与平均月額(総報酬月額)」が、支給停止調整額を超えた月は超過額の半額の老齢厚生年金が支給停止される制度です。 

なお、平成19年4月以降に70歳に達した方で、厚生年金の被保険者資格喪失後も在職している場合、70歳以降も在職老齢年金による調整対象となっています。

この在職老齢年金は、従来から高齢者の就業意欲を削ぐものと批判されていますが、老齢年金の支給目的である「稼得能力の低下」の影響が小さい方にも満額の老齢厚生年金を支給すべきかとの考え方もあるため、制度は存続しています。

 ちなみに、在職老齢年金で支給停止された部分の年金は繰下げ加算の対象にならず、将来加算されることもありません。

支給停止調整額は51万円から65万円に

 令和8年4月より、在職老齢年金の支給停止調整額は、令和7年度の51万円から65万円へ14万円引き上げられます。

 これは支給停止調整額の基である支給停止基準額が、令和7年の法律成立時に48万円から62万円に引き上げられ、令和7年度以降の名目賃金上昇率1.044を乗じた後、万円未満を繰り上げて算出された結果、支給停止調整額が65万円となっています。

支給停止調整額の引き上げによる効果

  厚生年金の受給額は、標準報酬月額(加入期間全体)の平均と賞与(平成15年4月以降)の平均月額の合計額に一定率(5.481/1000)と加入月数を乗じて計算します。例えば、標準報酬月額の平均と賞与平均月額の合計が50万円で40年(480月)加入した場合の年金受給額は年額約132万円となり、月額約11万円となります。

 この場合、令和7年度の支給停止調整額51万円では、月額40(51-11)万円までの報酬や賃金なら年金は停止されませんでした。

令和8年度は、月額54(65-11)万円までの報酬であれば厚生年金は停止されず、昨年度比で年間168万円報酬を増やしても厚生年金は全額受給可能となります。

在職老齢年金で厚生年金が停止されるのは納得いきません 

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税理士会の長年の建議 給付付き税額控除

給付付き税額控除が実現しそう

給付付き税額控除が、政治の表舞台で、中心的話題の一つになっており、しかも、政党の枠を超えて支持が拡がっています。

所得税における再分配機能と構造的な課題

所得税は累進税率を通じて高所得者に高負担を求め、税制での再分配機能を構築しています。なお、個別事項負担調整として所得控除制度がありますが、この方式は税率と連動するため、高所得者ほど減税効果が大きくなっています。そのため、最近は、高所得者への、人的控除の適用額の圧縮や否認という制度化が進行してきました。

税額控除への転換という発想

一方で、そもそも所得控除制度ではなく、税額控除制度にすれば、税率の高低にかかわらず減税効果が同額となるため、所得階層による減税効果の差を小さくすることができる、との主張がありました。

税理士会による早期からの提言

税理士会の提案が陽の目を見ようとしている。税・社会保障制度全体のバランス調整の仕組みになり得る。

税理士会は、政府に提出する「税制改正建議書」の中で、こうした問題を早い時期から指摘してきました。1990年代後半以降の建議書では、人的控除の税額控除の提言を繰り返しています。さらに、低所得者に対する政策効果を確保する観点から、控除しきれない部分を給付として支払う「給付付き税額控除」という考え方にも言及しており、税率構造だけに依存しない再分配の仕組みを制度論として提示してきました。

年少扶養控除廃止と子ども手当

この制度論を理解する上で興味深いのが、年少扶養控除の廃止と子ども手当の創設に関する評価です。税理士会の建議では、この制度変更について、所得控除による支援から現金給付による支援へと政策手段が移行したものと位置付けています。

給付付き税額控除の意味

給付付き税額控除では控除しきれない部分を給付として支払う仕組みを採ります。これにより、所得税をほとんど負担していない低所得層にも制度の効果を及ぼすことができ、税制を通じた再分配機能をより明確に実現できるのです。

消費税や社会保険との関係も

比例税の消費税には逆進性があり、同じく比例料率の社会保険料にはさらに高所得層に負担上限(頭打ち)があります。これらは、負担力のない人への圧迫をもたらしていますが、給付付き税額控除は、制度の枠を超えた低所得者への支援措置、調整措置、再分配機能の制度化になり得ます。

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