新市場への扉を開く大型補助金の活用法

新事業進出補助金とは

中小企業が既存事業の枠を超え、新たな市場や製品分野に挑戦するための補助金制度が動き出しました。独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施する「中小企業新事業進出促進補助金」の第4回公募が令和8年3月27日より始まりました。補助金額は従業員規模によって異なり、20人以下では最大2,500万円、101人以上では最大7,000万円(賃上げ特例適用時は各3,000万円・9,000万円)で、補助率は原則2分の1です。事業の大きな転換点を考えている経営者にとって絶好のタイミングといえます。

「新規性」がカギを握る

この補助金の最大の特徴は、対象事業に厳格な「新規性」が求められる点です。製造・提供する製品やサービスが自社にとって新規であること(製品等の新規性要件)、かつ従来とは異なる顧客層を対象とした新たな市場への進出であること(市場の新規性要件)の両方を満たさなければなりません。既存製品の製造量を増やすだけ、あるいは既存顧客向けにメニューを追加するだけでは対象となりません。

賃上げは返還義務を伴う条件

採択には、付加価値額を年平均4%以上成長させる事業計画の策定が必要です。さらに、1人当たり給与支給総額を年平均3.5%以上増加させる賃上げ目標を設定し、全従業員に表明することが義務付けられています。事業計画期間終了時に目標を達成できなかった場合は補助金の一部返還が求められます。加えて事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上高く維持することも必須要件です。賃上げは努力目標ではなく、返還義務を伴う強制力のある条件です。

今すぐ着手すべき2つの準備

申請前に今すぐ着手すべき準備が2つあります。1つはGビズIDプライムアカウントの取得で、発行に約1週間かかります。もう1つは、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し「両立支援のひろば」に公表することで、こちらも1~2週間を要します。申請受付は令和8年5月19日開始、締切は令和8年6月19日18時(厳守)です。電子申請のみの受付ですので、準備が整い次第、速やかに手続きを開始することをお勧めします。

補助金を活用して新たな事業を大きく成長させよう!

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税理士高野好史事務所(栃木県宇都宮市)

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給与所得控除の令和8年度改正

給与所得は見えにくいもの?

 企業から支払われている給与そのものの額で、何も引かない(通勤費等の非課税のものは除きますが)額が「給与収入」です。年収とも呼ばれています。一方「手取り」と呼ばれるのは給与収入から源泉所得税や住民税、社会保険料や組合費等、給与収入から差し引かれるものをすべて計算した上で、給料として振り込まれる金額です。

「給与所得」は、給与収入から「給与所得控除額」を引いたもので、所得税の計算等に用いるものです。最終的には給与所得から社会保険料控除等、各種控除の金額を引いた上で税額を計算しますが、サラリーマンの実生活では所得税は給与支払いごとに徴収されるので全体像が見えにくく、自分の給与所得額がいくらなのかというのを確認する機会は源泉徴収票や確定申告書を見た時くらいなので「手取り」と「給与所得」を同じものだと思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

給与所得控除の計算は「概算」

 給与所得控除は収入を得るために必要な経費を「概算」で差し引く制度です。

給与所得控除額は令和7年・8年と連続の改正が行われていますが、いずれも「給与所得控除の最低保証額」の引き上げに留まっています。

最低保証額だけの改正

 令和8年の給与所得控除額は以下の通りです。

給与収入給与所得控除額
220万円以下74万円 69万円+物価指数上昇分5万円)
220万円超 360万円以下収入金額×30% +8万円
360万円超 660万円以下収入金額×20% +44万円
660万円超 850万円以下収入金額×10% +110万円
850万円超195万円

※赤字部分が令和8年の変更部分

基礎控除が消費者物価指数の上昇率を加味して調整されるようになったのと同様、給与所得控除の最低保証額も物価上昇率を加味するようになりました。範囲を見ると、パート・アルバイトの方の「所得税の壁」を上げるための微調整といった改正です。

「収入を得るために必要な経費を概算で」という建前なら、全階層控除額を引き上げてくれてもいいのに

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