公開空地の公共空間化 オープンスペースという新視点

公開空地は単なる建物敷地にすぎないのか

 公開空地について、国税庁の質疑応答事例は、「建物の敷地として評価する」としています。総合設計制度により容積率等の緩和を受けるために設けられたものであり、建物を建てるために必要な敷地を構成するものだからです。

しかし、都市政策の側から公開空地を見ると、少し違った姿が見えてきます。

法的行政規定では、東京の場合

東京都の総合設計許可要綱では、公開空地を「日常一般に公開される部分」と定義し、その中に「歩道状空地」「貫通通路」「アトリウム」「水辺沿い空地」「広場状空地」などを位置付けています。つまり、公開空地は単に「建物を建てない土地」ではなく、私有地の一部を都市の中の開かれた空間として機能させる仕組みと見ることができます。

現在進行形の進化の方向

 近年は、この考え方が更に広がっています。自治体の都市政策では、「パブリックスペース」「オープンスペース」という言葉が用いられ、単なる通行空間に留まらず、歩行、滞在、憩い、交流、イベントなど、人々の都市生活を支える空間として、民間敷地活用の取組が各地で進められています。

札幌市のガイドラインでは

 札幌市の2026年7月の「パブリックスペース活用ガイドライン」は、パブリックスペースについて、公開空地等、公園、道路、広場など、誰もが自由に通行・滞在できる、一般に開かれた場所や空間のこととし、まちに訪れる人、まちで暮らす人が、居心地よく過ごし、憩い、愉しむための重要な資源、と位置付けています。行政所有の公共空間だけでなく、公共的に利用できる民有地も都市の公共的資源なのです。

そして、その活用例として、ヨガ、スポーツ観戦、ジャズ、アート展示、キッチンカー、マルシェ、野外映画、冬のイベントなどが挙げられています。

最高裁判決の考え方を敷衍すべき

最高裁の歩道状空地判決は、自由な使用・収益・処分への制約が、客観的交換価値を低下させるという物差しを示しました。

現在の公開空地・パブリックスペースの考え方により、所有者の土地の一部が公共的空間として継続的に利用され、都市の公共的機能を担うに至っています。

最高裁の物差しの目盛りを、土地所有者の利用・処分への制約の検討の上に置いて、客観的交換価値の再検証をすることには、時代的要請があるように思われます。

公共的資源としての性格の強さに応じた公開空地評価への基準を考えるべきです。

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最高裁の考え方は公開空地にも及ぶか

矛盾する質疑応答事例の存続

 歩道状空地の評価について、国税庁は、最高裁判決を受け、一定の要件を満たすものについて私道供用宅地として評価する取扱いを示す一方で、公開空地については、現在も「建物の敷地として評価する」とする質疑応答事例をそのまま残しています。

評価の原理の根底にある完全な所有権

完全な所有権には、所有物の使用、収益及び処分をする権利があります。私有地でありながら、その一部について一般人の利用を継続的に受忍することが求められるのであれば、所有権に一定の制約があることになります。

その制約が市場における土地の取引価格を低下させるのであれば、それは相続税法22条の「時価」、すなわち客観的交換価値の問題として検討されるべきとなります。

最高裁の考えと当てはめ

 歩道状空地は、公共的利用によって所有者の権利が制約され、その制約によって客観的交換価値が低下しているから、その低下は財産評価に反映されるべきとしているのが、最高裁判決の考え方です。

最高裁は、その考えの当てはめとして、具体的案件の①都市計画法所定の開発行為、②インターロッキング舗装、③第三者による自由な通行、という3つの個別事情を列記したのです。

したがって、その3つの個別事情は、最高裁の考えとしての十分条件の開示であるものの必要条件というわけではありません。

公開空地については様子見か

日常一般に公開され、第三者の利用を予定し、所有者の独占利用ができない、という点では、歩道状空地と公開空地に相違はありません。

そうであれば、「建物を建てるために必要な敷地を構成するもの」という制度上の説明だけで、公開空地を評価減の対象外とすることに、なかなか納得できるものとは言い難いところです。

しかし、公開空地の概念に含まれるものには、①歩道状空地、②屋内外貫通通路、③アトリウム、④水辺沿い空地、⑤広場状空地、⑥植栽・花壇、⑦池泉噴水、⑧公衆便所等、⑨建築物の低層屋上面、⑩サンクンガーデン、⑪ピロティ、⑫その他、と多様な物があり、評価の基準作りも容易ではないと思慮されます。とは言え、①の歩道状空地以外にも、所有権制約への配慮は必要です。

貫通通路(敷地内の屋外空間及び計画建築物内を動線上自然に通り抜け、かつ、 道路、公園その他これらに類する公共施設相互間を有効に連絡する歩行者用通路をいう)が、次の評価減対象の筆頭なのでは。

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