名義預金の相続課税

見落としやすい名義預金

 遺産分割で見落としやすいのが名義預金です。親族名義で預金口座がつくられるので被相続人が生前、自分にプレゼントしてくれたものと思い込み、相続財産となる場合があることに気づかない。しかし、その場合でも相続財産として申告の要否を検討しなければなりません。

帰属者の判定要素

 税務署が相続財産に該当するかチェックするポイントは、次のものとなります。

  • 預金の原資は、誰が出捐したか
  • 預金口座は誰が開設し預入れしたか
  • 預入者の意思はどのようなものであったか
  • 通帳と印鑑を保管し、預金の預入れ、払出しをしたのは誰か

 被相続人が預金の原資を出捐し、親族名義の口座を開設し、通帳と印鑑を被相続人で保管し、預金の出し入れをしていれば、被相続人の名義財産とされる可能性が高まります。

 反対に、被相続人が親族に贈与の意思を示し、親族も受け取る意思を表示していたことが書面等で明確に確認できる場合は、贈与税の課税対象となります。

 国税庁の「誤りやすい事例 ⑥申告書第11 表の付表3関係」では、被相続人以外の名義財産(預貯金)について、名義にかかわらず、被相続人が取得資金を拠出していたことなどにより被相続人の財産と認められるものは相続税の課税対象となることが解説されています。

配偶者の名前で預金した場合

 夫婦が婚姻中、給与所得や事業所得等で得た財産は、夫婦の一方が単独で有する財産(特有財産)として夫婦それぞれに帰属します。夫が自身で稼得した財産を妻名義で預金した場合、帰属者の判定要素に照らして名義財産となる可能性があります。

なお、贈与となることが明らかとなり、婚姻期間中に夫婦が拠出した資金を生活で消費するとき、贈与税は非課税となります。

子や孫に財産を残すための意思表示

 被相続人が生前に子、孫の名義で預金口座をつくるのは、相続税を減らす動機もあるでしょうが、自分の意思で財産を渡したい願いもあるのではないでしょうか。親族名義の預金口座が見つかったときは、被相続人の生前の意思を尊重して遺産分割すれば協議が円滑に進むかもしれません。

親族の間で日頃から相続に向けた対話が大切ですね。

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富裕者は一律税率

一億円の壁突破のミニマムTAX

申告元年である今年のミニマムTAXの制度内容(令和7年分)は、次の通りです。

(A)基準所得金額総所得金額と分離課税所得金額との合計額(申告不要制度適用なしの金額)

(B)基準所得税額申告不要制度適用なしの申告書上の所得税の額

増加する税=(A-3.3億円)×22.5%-B

実務データが揃う前に制度改正

 今年の税制改正後(令和9年以後分)の算式は次のように変わります。

増加する税=(A-1.65億円)×30%-B

本来なら、制度を2~3年運用してから見直すのが普通ですが、富裕層への負担強化を急いでいるようです。

申告元年での対象者は、200人と予想されていて、今次の改正後は、2,000人と予想されているようです。

算式を分解すると意味が分かる

(A-3.3億円)×22.5%

=0.225A-3.3億円×0.225

=0.225A-7,425万円

 要するに、税額基礎控除が7,425万円としての定率22.5%の税額計算式だったのです。  

通常の申告不要制度を選択しなかったときの、課税所得全体に22.5%の税率を乗じて基礎控除を引いた額が、ミニマムTAX税額です。

それに対し、通常の申告不要をしないで申告したときの税額を算出します。この2つの税額の、いずれか高い方が、その人の、その年の所得税額になるという事なのです。

今年の改正後の算式では

(A-1.65億円)×30%

=0.3A-1.65億円×0.3

=0.3A-4,950万円

 令和9年分の所得税の申告からは、税額基礎控除が4,950万円に減って、一律30%で計算します。

ミニマムTAX対象者の実効税率

 今年の申告の場合、7,425万円の基礎控除の効果があるので、ミニマムTAX負担対象者でも、課税所得全体に対する実効税率は、22.5%に遥かに及びません。100億円、200億円レベルになると、限りなく22.5%に接近します。

 ただし、3.3億円超の金額の部分を分母にして、その部分の実効税率を計算すると、10億円レベルからは、ことごとく22.5%となり、多段階税率ではなく、一律税率であることが、確認できます。

申告不要制度を前提とした発想は、富裕者税制では、卒業しないとダメだね。

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