なかなか実現しなかった給付付き税額控除

日本における給付付き税額控除の検討

 平成21年度自民党税制改正大綱に「給付付き税額控除の検討」の文言があり、平成21年改正法附則に「給付付き税額控除(給付と税額控除を適切に組み合わせ)の検討」が明記されたものの、その後、具体的な制度設計には至っていません。 

所得控除から税額控除そして給付へ

 給付付き税額控除の議論は、所得控除は限界税率の高い高所得者ほど減税額が大きく、そこでは再配分機能が働きません。そのため、負担軽減効果を定額にする税額控除への転換があるべき制度という提案が起き、さらに控除しきれない部分を給付する仕組みへと議論が進みます。

日本の状況 単純給付が先行

 日本の実際の制度をみると、この理念型がそのまま実現しているわけではなく、子ども手当の場合、所得控除を廃止して、税額控除化をせず、現金給付を行う制度にしています。

 また、岸田政権下で実施された定額減税は、全国民への定額給付が内容で、税額控除と給付を組み合わせた仕組みです。所得税額控除までは、年末調整を通じての執行で、控除不足はさらに、所得税の申告で実行し、さらに残る控除不足額は住民税から控除し、その後の控除不足は、地方自治体からの還付でした。

 給付付き税額控除の執行実験だったようにも見えます。

世界の給付付き税額控除の制度

 世界の給付付き税額控除の先行事例として紹介されているものの多くは、日本の現行実態程度のものを含んでいます。純粋な給付付き税額控除を制度化している国は少数です。

 米国型とされる就労促進目的の制度は、控除しきれない税額控除額を給付するものの、金融所得・不動産所得の上限要件があり、控除額は所得の増加に伴って逓増し、上限に達すると逓減する仕組みです。

日本での本格的制度導入では

 例えば、現行基礎控除の0~95万円を一桁下げた額0~9.5万円で税額控除化し、控除不足額を還付する制度創設は簡単です。同じく、他の人的控除を税額控除化するのも可能です。

年末調整や所得税申告の対象外を無視してもよいのか、世帯単位にするか、米国型のように就労インセンティブを効かせか、なども考慮した制度とするとなると、複雑化、執行の煩雑化も起きそう。

 ただし、制度の執行を、年末調整や所得税申告、住民税の執行とどう嚙合わせるかは容易ではありません。

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社会保険「130万円の壁」の認定が雇用契約ベースに

社会保険「年収130万円の壁」とは

税金に関する年収の壁は、住民税が課税される最低年収が100万円から110万円に、所得税が課税される最低年収が103万円から178万円に引き上げられたことはご存じと思います。

一方、社会保険の扶養認定基準である年収の壁は、①106万円(社会保険被保険者を51名以上雇用する企業)と②130万円(①以外で法人個人や企業規模を問わない)の2種類あります。

①は時給1,016円以上で、週20時間・年52週で計算すると106万円を上回るため、地域別最低賃金の全国最低額が1,023円となったことから、106万円の金額基準は近々廃止されることになっています。②の130万円の金額基準に変更はありません。

「130万円の壁」認定が契約ベースに変更

 年収「130万円の壁」は、金額基準に変更はありませんが、2026(令和8)年4月以降、認定方法が変更となります。

 従来は、実際に年収130万円を超えるか、今後1年で超えると見込まれる場合、社会保険の扶養から外されていました。そのため、特に年末が近づくと、パート社員による出勤日や出勤時間を減らす就業調整が行われ、人手不足に拍車が掛かっていました。

 今後は、労働条件通知書や雇用契約書上の就業時間で年収130万円未満となる契約内容であれば、残業で130万円を超えたとしても、社会保険の扶養は継続されます。

認定方法の変更で注意すべき点

  パート社員から労働条件通知書や雇用契約を見直したいとの申し出が多くなると思われますが、いくつか注意が必要です。

まず、年収130万円の金額は、税金の壁と異なり、通勤手当を含めた額となることです。つまり、パート社員によって契約上の就業時間を調整する必要があります。

また、所定外労働の扱いは、厚生労働省のQ&Aでは、「臨時収入が社会通念上妥当である範囲に留まる場合」との条件が具体的な金額基準なしで付されています。

そのため、保険者(協会けんぽや健康保険協会)によって判断基準が異なると思われますので、事前の確認が必要となります。

契約ベースはわかりやすいし、130万円を少し超えても大丈夫! 

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