非上場株式評価の残余利益方式

非上場株式の財産評価方式の見直しが国税庁の有識者会議で検討されており、類似業種比準方式に代わる新たな評価方式として残余利益方式が提示されています。

国税庁は租税回避を問題視

 原則的評価方式は、類似業種比準方式と純資産価額方式です。制度上、類似業種比準方式は規模の大きな会社ほど適用できる割合が大きく、規模の小さな会社は、純資産価額方式の適用割合が大きくなります。これまでの数次の制度改正を経て、純資産価額と類似業種比準価額との間に約4倍の乖離が生じており、国税庁は乖離を利用した租税回避を問題視していました。

純資産価額と将来利益による残余利益方式

 残余利益方式は、簿価純資産価額に将来の利益獲得能力を加味した評価方法です。評価時点以後の一定期間の利益を見込み、その利益額から借入金の利息、株主への配当金などの資本コストを控除した各年の残余利益額を評価時点の現在価値に置き直し、その価額を評価時点の簿価純資産価額に加算して株式評価額を算出します。

株式評価額=簿価純資産価額+残余利益額

残余利益額=(将来の利益額-資本コスト)

の現在価値

※資本コストは借入利息、配当金など

 簿価純資産価額は評価時点における会社の財政状態を示し、過去の損益が反映されています。残余利益は、評価期間を数年先までに限定し、かつ、過去の利益実績を将来の利益見込額として使用することで予測により生じる誤差を抑えることができます。

中小企業に与える影響

 残余利益方式は、類似業種比準方式に比べて評価額が高くなるので、規模の大きな会社ほど負担が大きくなり、純資産価額と類似業種比準価額を併用する中小規模の会社の負担は抑えられます。また、事業承継の負担軽減のため、評価額に一定の斟酌率を乗じる措置も併せて検討されています。

 実際の株式売買価格は、M&Aによる場合、事業の将来性を期待した評価額となり、親族間の場合、純資産価額以下の金額となりますが、それでも純資産価額を基本とし、将来利益を加味する株式評価額は時価に近づきます。残余利益方式は収益力が高まれば担税力も大きくなるので株式評価が高くなることと平仄が合っています。そのうえで事業承継の負担軽減をはかる調整措置の適用が重要になるものと思われます。

事業承継の負担軽減措置と一体とする制度設計が必要ではないでしょうか。

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税理士高野好史事務所(栃木県宇都宮市)

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取締役と兼務役員

永年会社に貢献してくれた優秀な社員に役員になってほしいと考えたとき、社長にもその社員にも少し不安な気持ちがないとはいえません。いきなり完全な役員にするのではなくまずは「使用人兼務役員」として登用することで、社員も安心感を残しつつ経営にも参画してもらうことができます。

 取締役とは大きくいうと2種類あります。委任契約であれば会社の経営判断や業務執行の監督を行う立場で任期は2年です。

一方で取締役という役員としての地位と、部長や課長といった使用人としての職務の両方を持ちながら現場での指揮を執る人は兼務役員となります。

使用人兼務役員になれない人

 税法上以下の方は兼務役員になれません。

・代表取締役 ・監査役

・副社長、専務、常務などの役付取締役

・同族会社で一定以上株式保有の役員

・合資、合名、合同会社の業務執行役員

また、兼務役員になる人は「平取締役」として「部長」などの肩書を持たせるのが一般的です。取締役と使用人兼務役員との大きな違いは、経営に専念する立場か従業員(使用人)職務を兼ねているかという点にあります。

使用人兼役員とは

 会社法や税法において、役員と従業員は契約の性質が異なります。

  • 給与を柔軟に設定できる

役員報酬は原則として「定期同額給与」のルールがあり、毎月同額でなければ経費として認められません。賞与についても事前に届出等をしておかないとなりません。ただし、兼務役員の場合は「使用人分」の賞与は他の従業員と同じ時期に支給すれば経費にできるとされています。

  • 雇用保険や労災保険に加入できる

役員は通常、雇用保険、労災保険の対象外ですが、兼務役員は労働者性があれば対象になります。ただし、労働者部分の給与に対する給付となります。使用人兼務役員はその立場を明らかにするためにも、ハローワークに「兼務役員雇用実態証明書」を提出しておきましょう。

  • 労働基準法の適用が受けられない場合がある
     通常、役員扱いであれば残業代は適用除外の場合が多いでしょうから役員手当などで対応しましょう。
長く会社に貢献してくれた方が役員になる時は使用人兼務役員から始めると良いかもしれません

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