従業員分と役員分の退職金を一括支給する場合

従業員・役員の退職金を一緒に支払う場合

 従業員が役員に昇格した場合、昇格した方の従業員分の退職金については、次の2つの取扱いが考えられます。

① 役員就任時に従業員分の退職金を精算し、支給する方法(打切り支給) ② 役員を退任する時まで、従業員分の退職金支給を繰り延べる方法

 国税庁HPに、②の源泉税計算の一例が掲載されています。確認してみましょう。

<事例> 令和7年3月31日、A氏は、役員として勤務していたB社を退職し、退職金3,500万円が支給された(内訳:従業員分2,500万円、役員分1,000万円)。 <A氏のB社での経歴> 勤続期間 H13.4~R7.3(24年間) 従業員として H13.4~R5.3(22年間) 役員として R3.4~R7.3(4年間) ※ R3.4~R5.3(2年間)は、使用人兼務役員として勤務(重複期間)

 この事例では、①役員の勤続年数が5年以下であるため、役員分の退職所得は1/2を乗じないこと、②役員と従業員の勤務の重複期間は、役員側の控除を「20万円×重複期間」で計算することがポイントです。

退職所得の計算手順をチェック!

 まず、A氏のトータルの勤続期間(24年)の退職所得控除額を計算します(A)。

800万円+70万円×(24年-20年) =1,080万円

 次に役員分(4年)の控除を求めます(B)。

(重複していない期間)40万円×2年 +(重複期間)20万円×2年=120万円

 従業員分の控除額は、AからBを控除した残額960万円(1,080万円-120万円)となり、まとめると次表のとおりとなります。

 収入金額控除額差引金額
役員分1,000万円120万円880万円
従業員分2,500万円960万円1,540万円
合計3,500万円1,080万円―

 退職所得は、従業員分のみ1/2を乗じて1,650万円(役員分880万円+従業員分1,540万円×1/2)と計算されます。

退職所得の源泉徴収票に記載する事項

これに速算表等を適用し、源泉徴収税額399万1,089円、特別徴収税額165万円を算出します。なお、退職所得の源泉徴収票の「摘要欄」には、①役員分の支給額、②役員としての勤続年数、③重複勤続年数などを記入しますので、注意しましょう。

国税庁HPに記載見本があるので、参考にしてください!

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2か所以上で勤務する人の社会保険

兼業・副業等で同時に2か所以上勤務する

 社会保険は同時に2か所以上の事業所に勤務し報酬を受ける場合、2つ目の会社も健康保険・厚生年金の届出をする必要があります。

 それぞれの事業所ごとに社会保険の加入要件を満たしているか等を判断します。

例えばA社、B社両方で加入要件を満たした場合、社会保険には両方で加入することとなります。

例としては次のような働き方をする方が対象となります。

〇A社及びB社で法人の代表者および役員

〇A社で法人の代表かつB社で正社員勤務

〇A社及びB社で正社員として勤務

〇A社及びB社で短時間労働者として勤務し、各々の会社で加入要件を満している

※加入要件は企業規模で異なります。

手続はどうなるの?

同時に2か所以上の事業所で社会保険の加入要件を満たした場合、いずれか1つの事業所を主たる事業所として選択し、管轄する年金事務所か日本年金機構に「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を提出します。

健康保険組合加入事業所を選択した場合、健康保険組合へも届出が必要です。

また、70歳以上の方は「厚生年金保険70歳以上被用者所属選択・二以上事業所勤務届」の提出も必要です。

健康保険証は1つ、保険料はどうなるの?

 保健証は本人が選択した事業所を管轄する保険者から健康保険証が発行されます。

複数発行はされません。

 保険料は各々の事業所で受ける報酬を合算した月額により標準報酬月額が決定されます。この標準報酬月額に厚生年金保険料率、選択した事業所の健康保険料率をかけた保険料額を各々で受ける報酬月額に基づき按分して保険料が決定されます。

保険料額の計算例(厚生年金保険料の場合)

A社 月額20万円、B社 月額10万円、

合算で30万円。この報酬を労使合わせた保険料率で標準報酬月額を算出し、控除保険料は按分すると労使各々がA社は3分の2、B社は3分の1を負担します。

健康保険料は協会けんぽでは各都道府県単位で料率が違いますが、算出方法は同じです。

70代であっても給与を受けていれば合算のための届出が必要です。

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