研究開発税制 人件費の「専ら」要件

研究開発税制のポイントは「人件費」

 研究開発税制(試験研究を行った場合の法人税額の特別控除)とは、企業が試験研究を行った場合に、試験研究費に税額控除割合を乗じた金額を法人税額から控除できる制度です。実務では、試験研究費の中でも占める割合が高い「人件費」の集計がポイントとなります。この「人件費」は「専門的知識をもってその業務に専ら従事する者」に対する次のような費用をいいます。

・給与、賞与、諸手当、退職金 ・法定福利費、福利厚生費 など

問題となるのは、「専ら」という要件。ここでは、100%専属で直接的な研究業務をしている「研究員」を想定しています。

<研究開発に「専ら従事する者」>

・プロジェクトの全期間従事する者 ・研究部門に所属する者、専業とする者 (研究者としての肩書を有する者等)

兼任者でも「専ら」要件を満たす要件

 ただ、どの企業でも、限られた人的資源の中で研究開発に取り組まざるを得ないため、研究以外の業務を兼務するケースが多く見られます。この場合、次の4要件を満たす者は、「専ら従事する者」に該当するものとして取り扱うことができます。

<兼任者が「専ら」要件を満たす4要件>

① 専門知識をもって、担当業務が行われる期間は専属的に従事していること ② 担当業務や専門知識がその研究開発 に不可欠であること ③ 従事期間が通算しておおむね1か月(実働20日程度)以上あること ④ 従事状況が明確に区分され、人件費    が適正に計算されていること

<具体例> 研究プロジェクト(8か月)

A氏(設計部/月給60万)、B氏・C氏(生産部/同30万)は、下記の期間に専属的に試験研究に従事した(評価・分析フェーズは業務の特殊性から断続的に従事)。

 設計開発 1~3月試作 4~6月評価・分析 7~8月
A氏実働60日実働60日実働30日
B氏実働20日実働60日
C氏実働30日

 月稼働日数を20日とすると、人件費は合計615万円と計算するイメージになります。

A氏 60万円/20日×150日=450万円 B氏 30万円/20日× 80日=120万円 C氏 30万円/20日× 30日= 45万円
プロジェクト計画書や勤務記録を整備しておきましょう。

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ポイントを再確認! 「適格返還請求書」とは

インボイス導入当初、混乱しましたが…

 インボイス制度導入当初、「振込手数料」の取扱いで混乱がありました。買手が代金から手数料を差引くと税務上「売上値引」となり、売手は買手に「返還インボイス(適格返還請求書)」の発行が必要となります。経理現場では「数百円のために書類発行か」と騒然となりましたが、令和5年度改正で「1万円未満の対価の返還」は返還インボイス交付が免除され、沈静化しました。

返還インボイスの記載事項を再チェック!

 とはいえ、卸売業やメーカーなどリベートのやり取りが頻繁にある会社では、「返還インボイス(適格返還請求書)」の重要性は変わりません。次のような取引は、消費税法上「売上げに係る対価の返還等」とされ、売手側は「返還インボイス」を発行しなければなりません(この書類がないと、売上返還等に係る税額控除ができません)。

<売上げに係る対価の返還等>

売上返品、売上値引き、売上割戻し(リベート)、売上割引、販売奨励金(販売高・販売数量に応ずるもの)など

 返還インボイスには、次の5項目を記載することが法定されています。しっかりと確認しておきましょう。

<適格返還請求書の記載事項>

① 登録番号・発行者氏名 ② 次の取引年月日 イ 売上返還等を行う年月日 ロ 売上返還等の基となった課税取引を行った年月日(返還対象の取引日) ③ 売上返還等の基となる課税取引の内容(軽減税率の対象課税資産の譲渡等である場合には、その旨) ④ 返還等の税抜価額(又は税込価額)を税率ごとに区分して合計した金額 ⑤ 返還等の金額に係る消費税額等 (又は適用税率)

 この書類は、②ロの「返還対象の取引日」を明記することが特徴です(「○月売上分」のように一定期間の記載でも構いません)。

書類発行の押し付け合い!?

 この書類は売手側(卸業者やメーカー)に発行義務がありますが、リベート計算は買手側(小売店等)が行うことが多いようです。そのため、当事者間では「どちらが書類を作るのか」となりがちです。実務では、買手側が「支払通知書(仕入明細書)」に返還の内容を記載し、売手側に確認・承認してもらう運用も浸透しつつあります。

リベートの処理はデリケートで苦労が多いですよね。

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