不動産小口化商品の評価の見直し

不動産小口化商品の評価の見直し

 不動産小口化商品とは、1つの不動産を複数の口数に細かく分割し、多くの投資家から集めた資金で共同購入・運用する投資商品です。これまで個人が投資できなかった大型の賃貸オフィス(銀座や六本木など都市部の商業ビルなど)を投資対象として取り込み、販売を拡大してきました。近年の貸付用不動産は、市場価格と相続税評価額が大きく乖離しており、不動産小口化商品は、大きな節税商品としても注目されていました(税制調査会の専門家会合では「評価が時価の2~3割」という事例が紹介されています)。この節税メリットが、今回の通達改正で封じられることになります。

改正前の評価方法は「相続税評価額」

 令和8年までの実務では、不動産特定共同事業法に基づく①任意組合型や②賃貸借型、金融商品取引法等に基づく③信託型のものは、小口化された貸付用不動産の相続税評価額で評価していました。

商品の種類財産種類評価
任意組合型不動産相続税法上
賃貸借型不動産の評価額
信託型信託受益権(路線価等)

令和9年1月以後は「通常の取引価額」に

 令和8年9月に「貸付用不動産の評価について(案)」のパブリックコメントが公表されました(10/18まで意見募集)。これによると、令和9年1月1日以後の相続・贈与より、特定小口化商品(不動産特定共同事業契約又は信託受益権に係る金融商品取引の契約のうち一定のものに基づく権利)の目的となっている貸付用不動産の価額は、取得時期にかかわらず、課税時期における「通常の取引価額」により評価されることとなります。

年内の「駆け込み贈与」は慎重に検討を

ただし、特定小口化商品の元本等相当額が適正価格に基づくと認められる場合には、販売会社が提示した適正な処分価格などの精通者意見価格等を参酌して評価できるとされています(この場合、特定小口化商品の元本等相当額×90%等で評価できます)。

 この改正を見越し「駆け込み贈与」の増加が予想されます。現行の通達評価が過度な節税とみなされるリスク(総則6項)はなくなっていないという意見もありますし、不動産取得税等の負担もあります。専門家に相談しながら検討していきましょう。

不動産小口化商品、節税効果が大幅に後退しますね。

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公開空地の公共空間化 オープンスペースという新視点

公開空地は単なる建物敷地にすぎないのか

 公開空地について、国税庁の質疑応答事例は、「建物の敷地として評価する」としています。総合設計制度により容積率等の緩和を受けるために設けられたものであり、建物を建てるために必要な敷地を構成するものだからです。

しかし、都市政策の側から公開空地を見ると、少し違った姿が見えてきます。

法的行政規定では、東京の場合

東京都の総合設計許可要綱では、公開空地を「日常一般に公開される部分」と定義し、その中に「歩道状空地」「貫通通路」「アトリウム」「水辺沿い空地」「広場状空地」などを位置付けています。つまり、公開空地は単に「建物を建てない土地」ではなく、私有地の一部を都市の中の開かれた空間として機能させる仕組みと見ることができます。

現在進行形の進化の方向

 近年は、この考え方が更に広がっています。自治体の都市政策では、「パブリックスペース」「オープンスペース」という言葉が用いられ、単なる通行空間に留まらず、歩行、滞在、憩い、交流、イベントなど、人々の都市生活を支える空間として、民間敷地活用の取組が各地で進められています。

札幌市のガイドラインでは

 札幌市の2026年7月の「パブリックスペース活用ガイドライン」は、パブリックスペースについて、公開空地等、公園、道路、広場など、誰もが自由に通行・滞在できる、一般に開かれた場所や空間のこととし、まちに訪れる人、まちで暮らす人が、居心地よく過ごし、憩い、愉しむための重要な資源、と位置付けています。行政所有の公共空間だけでなく、公共的に利用できる民有地も都市の公共的資源なのです。

そして、その活用例として、ヨガ、スポーツ観戦、ジャズ、アート展示、キッチンカー、マルシェ、野外映画、冬のイベントなどが挙げられています。

最高裁判決の考え方を敷衍すべき

最高裁の歩道状空地判決は、自由な使用・収益・処分への制約が、客観的交換価値を低下させるという物差しを示しました。

現在の公開空地・パブリックスペースの考え方により、所有者の土地の一部が公共的空間として継続的に利用され、都市の公共的機能を担うに至っています。

最高裁の物差しの目盛りを、土地所有者の利用・処分への制約の検討の上に置いて、客観的交換価値の再検証をすることには、時代的要請があるように思われます。

公共的資源としての性格の強さに応じた公開空地評価への基準を考えるべきです。

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