止まらぬ人手不足に 中小企業省力化投資補助金

人手不足という慢性の経営課題

中小事業者において求人を出しても応募が集まらない、採用してもすぐに離職してしまうといった悩みは尽きません。人手不足は特定の業種に限った問題ではなく、製造業や建設業、サービス業まで幅広い現場で深刻化しています。採用活動を強化するだけでは限られた人材の奪い合いになり根本的な解決には至りません。今、多くの中小企業に求められているのは、少ない人手でも業務が回る仕組みそのものを作り直すという発想の転換です。

省力化投資を後押しする国の制度

こうした課題に応えるのが、中小企業省力化投資補助事業(一般型)です。中小企業基盤整備機構が実施するこの制度は、IoTやロボット、AIなどのデジタル技術を用いた専用設備を導入し、生産や業務のプロセスを省力化する取組を支援します。補助率は中小企業で2分の1、小規模企業者等では3分の2にのぼり、補助上限額も常勤従業員数に応じて750万円から最大8,000万円(大幅賃上げの特例で最大1億円)まで用意されています。単に人手を減らす投資ではなく、削減できた時間を新たな付加価値づくりに振り向け、賃上げにつなげることまでが制度の目的です。

申請前に押さえておきたい実務のツボ

活用にあたっては、既製品を単体で導入する計画は補助の対象外となります。自社の作業工程や課題に合わせて機能や構成を組み合わせた設備であることが欠かせません。申請はGビズIDプライムアカウントを取得したうえでの電子申請に限られ、交付決定前に発注や契約を行った経費は全て補助の対象外となります。また、採択後交付決定までの間に賃上げ計画を全従業員又は従業員代表へ表明しておくことが必須条件です。

申請受付は9月中旬から、今すぐ準備を

第8回公募の申請受付は2026年9月中旬に開始し、締切りは同年10月中旬となる見込み(※記事作成時掲載内容)です。正式な日程は事務局のホームページで公表される予定ですので、必ず最新情報をご確認ください。導入費用が50万円以上になる場合は原則として相見積りが必須となるため、複数業者への早期の声かけが欠かせません。締切り間際になって慌てないためにも、設備の候補選定と見積りの手配は、今この瞬間から動き出すことをお勧めします。

申請は9月中旬スタート。今が準備どきです。

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今年の最低賃金の動向

最低賃金の目安は1,176円

 厚生労働省の中央最低賃金審議会で2026年度の最低賃金の目安を全国加重平均で1,176円にすることが決定されました。昨年の全国平均である1,121円から55円の引上げで伸び率は4.9%でした。具体的な引上げの目安はAランク54円、BとCランクは56円でした。25年度は6.0%でしたが6年ぶりに伸びが縮まりました。今後、各地方審議会では目安を上回る場合もあります。

 最低賃金はコロナ以降大幅な引上げが続いてきました。物価上昇が続いているためで、岸田内閣は「30年代半ばまでに全国平均1,500円に」、石破内閣では「20年代に」と前倒し方針を掲げ高市内閣では「30年代前半の早い時期に」と修正しています。

会社が準備すること

最低賃金引上げをするなら、生産性向上設備の導入とともに行うと業務改善助成金が使えます。地域別最低賃金発効日前日までに引き上げ、設備購入は後になります。

 賃金台帳から現在の時給が最低賃金に近い従業員を洗い出し、また、月給者でも1か月平均所定労働時間で割り、時間額を算出します。その中には固定残業代、通勤手当家族手当、賞与などは入れません。

次に最低賃金の対象者だけを引き上げると社員とパートタイマーの賃金差が縮小し、勤続年数や職務内容に応じた賃金バランスが崩れて、不満、離職につながらないとも限りません。単なる最低賃金引上げだけに留まらず、全体のバランスに配慮する必要があります。

最低賃金改定は正社員に波及してゆく

日本経済は物価の伸びを上回る賃上げの定着と人手不足への対対応という課題に直面していて、最低賃金の引上げによる正社員の賃上げは今後も続くとみられます。しかし最低賃金と同程度で働く労働者は増えており、改正された後、下回る割合は小規模事業所で増えており、30人未満事業所では25年に27.7%ということです。25年度も「最低賃金を下回る従業員がいたため賃金を上げた」中小企業は45.1%でした。

 最低賃金が労働者全体に与える影響は広がっています。最賃の時給が改定されると翌年度の社員の処遇改善にも波及していくからです。最賃が上がることで労働意欲を高める効果もあり就業者数が増えることも考えられます。ただ企業の負担を考えると必要な価格転嫁や生産性の向上を進めなければ運営が立ちいかなくなる可能性があります。

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