営業活動禁止の清算中に消費税の課税売上が発生する事例

会社解散で消費税課税売上と申告はなし?

会社を解散し清算期間となれば営業活動等はできません。解散会社ができるのは、債権(売掛金など)の取り立て、債務(買掛金・未払金など)の弁済等に限られます。

営業活動がなければ、通常の売上にかかる消費税の課税売上は発生しません。「課税売上がなく」かつ「納付税額がない」場合、申告書の提出義務は生じません。また、清算期間中の諸経費は、課税・非課税共通経費となり、課税売上割合がゼロとなれば、仕入税額控除できる金額もゼロとなり、還付金額も発生しません。 

申告不要ということでしょうか?

営業売上なしでも課税売上発生の可能性有

営業活動が禁止されていても、残っている資産をお金に換えるために財産の換価処分が行われることがあります。たとえば、残ったパソコンを売却して現金に換えた等の場合であり、課税売上となります。

清算期間中の非課税売上は、土地の売却があれば別ですが、せいぜい銀行預金の解約時の利息程度でしょう。そうなると、課税売上割合が高くなって仕入税額控除にできる清算の諸経費の割合も高くなります。

課税売上にかかる消費税と仕入控除できる消費税額とを比較し、前者が大きければ申告・納税義務となります。後者が大きければ、還付申告できることとなります。

税法の規定で課税売上が発生する特殊例

資産売却以外でも課税売上が発生することがあります。税法規定が原因で、課税売上が発生する場合です。たとえば、①仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の控除の特例、②課税業務用調整対象固定資産を非課税業務用に転用した場合の消費税額の調整、③課税業務用調整対象固定資産を非課税業務用に転用したことで調整、④貸倒れ控除を受けた貸倒れについてその貸倒れ債権の全部又は一部を回収した場合、⑤直近の解散事業年度に未確定だった売上が清算事業年度に確定して実際に譲渡した課税期間の見積計上額を上回る差額に対応する税額が発生する場合、などです。

こうなるともう税法の細かな規定の話です。ようやく清算手続き業務が終わったとほっとしたタイミングで税務署から問い合わせが来て困らないように、清算手続きはやはり専門家(会社法は弁護士・司法書士、税金は税理士)に任せるべきと言えます。

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課税強化と適正化を 微調整する調整控除

高収入給与所得者への課税の強化

 近年、給与所得控除への制限が進み、1500万円超で頭打ち、1000万円超で頭打ち、とされて来て、令和2年分からは850万円超で頭打ちです。

 配偶者控除・配偶者特別控除については、平成30年分以後の給与所得者本人の合計所得金額が1000万円超では適用不可となり、合計所得金額が900万円~1000万円では、段階的に控除額が逓減することになりました。

 基礎控除も、令和2年分から、合計所得金額が2500万円超だと、基礎控除廃止で、2400万円~2500万円では、段階的逓減です。

特定所得控除を減らし基礎控除を増やす

 また、この流れとは別に、令和2年分からは、すべての給与所得控除、公的年金等控除の額がそれぞれ10万円引き下げになると共に、基礎控除が10万円引き上げとなりました。特定の所得にのみ与えられる控除を減らし、どんな所得にも適用される基礎控除の増額で、働き方の多様化に寄与すると説明されています。

大枠で整合でも細部で不整合

 一律10万円控除減額と基礎控除10万円増額でバランスがとれていそうですが、給与と年金の両方で控除減額となる人にとっては、20万円減と10万円の増で、バランスが崩れます。そんな時のために、所得金額調整控除という新しい控除枠が制度化されました。

 ただし、調整控除は給与所得側で行うとされているのに、年末調整での適用は不可とされています。確定申告でするものとされています。年金者の確定申告不要化の要請もあり、年末調整の書類に給与以外の所得の記載欄もあることを考えると、遠からず年末調整に取込まれそうに思われますが。

性格の異なる所得金額調整控除

 それから、これ以外にも、所得金額調整控除の適用場面があります。給与所得控除の頭打ちが1000万円であるのは良いとしても、850万円にまで下げてしまうのは、過激すぎたとの判断のようで、本人を含め特別障害者該当者が家族内にいる時と、23歳未満の扶養親族がいる時には、850万円超1000万円以下部分の給与からも10%の追加給与所得控除をする、というものです。

これも、所得金額調整控除とされています。こちらの所得金額調整控除は年末調整で処理することになっています。

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