清算事業年度の消費税申告

会社が解散した場合の法人税の申告

コロナ禍での売上減少から回復できず、この際思い切って会社を畳むことを経営者(株主)が決断すると、会社清算となります。

まずは臨時株主総会で解散決議がなされます。解散後、解散の日までの期間を1事業年度として、解散の日から2か月以内に解散事業年度確定申告書の提出です。残余財産が確定するまでは、清算事業年度確定申告書を同様に事業年度末から2か月以内に提出します。残余財産が確定すると、残余財産確定申告書を残余財産確定の日から1か月以内の申告となります。

会社解散の消費税の申告(解散事業年度)

 消費税の申告は、課税期間ごとに、その課税期間の末日から2か月以内の提出です。課税期間は、法人税の事業年度に従うため、解散すると法人税のみなし事業年度に合わせ申告期間もそれに応じることとなります。

 事業年度開始の日から売上ゼロということはないでしょうから、解散の日までは従来通り消費税計算をして申告・納付します。

会社解散の消費税の申告(清算事業年度)

 会社解散後には営業活動はできません。そのため、通常の売上にかかる課税売上は発生しません。しかしながら、会社の資産売却などにより、課税売上が発生する場合もあります。消費税申告は、課税売上の有無により、申告書の内容と提出の要否が変わってきます。

(1)課税売上が発生しない場合

消費税法の申告規定で、「課税売上がなく」かつ「納付税額がない」場合は、申告書の提出義務はないとされています。一方、仕入税額控除が過大の場合、還付申告書を提出できるとも規定されています。

 清算期間中も、事務所家賃や清算手続きのための司法書士・税理士費用が発生し、これらにも消費税が付加されています。

 こうした費用は、課税資産の譲渡等のみに要する費用とその他の資産の譲渡等のみに要する費用の両方に共通して要するものとなり、課税売上割合で按分して仕入税額控除金額が計算されることになります。

課税売上割合がゼロ%のため、仕入税額控除できる金額もゼロとなり還付金額は発生しません。また一方で、「課税売上がなく」かつ「納付税額がない」ため、申告書の提出義務はないものとなります。

(2) 課税売上が発生する場合  課税売上が発生していた場合には、課税売上割合に応じ、還付申告書の提出ができるか申告納税が発生することになります。

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税務会計

保険料控除証明書を 電子データで取得する方法

政府の旗振りで年末調整もオール電子化?

 平成30年度税制改正により、令和2年分の年末調整から、生命保険料控除、地震保険料控除及び住宅借入金等特別控除に係る控除証明書等について、勤務先へ電子データにより提供できるよう手当されたことなどを受けて、年末調整手続の電子化に向けた施策が実施されています。

 たしかに、電子化されれば、従業員は控除証明書等をデータで取得し、保険料控除等申告書もデータで作成して自動計算され間違いがなくなる、勤務先においてもデータをもとに年税額を自動計算し、データの紙保管も不要となる等、良いことずくめです。はたして、現状はどうでしょうか?

保険会社側の電子データ提供の状況(8社)

11月末日の時点で、保険会社からの保険料控除証明書の電子提供は、8社から行われています。9月23日現在42社ある保険会社のうちの8社ですから、大手で提供があるとはいえ、まだまだカバーできていません。加入する保険会社が未対応ですと、後述する他の準備は万全でも、電子データでの資料準備はかなわないことになります。

従業員側の電子データ取得の環境準備

 保険会社から控除証明書を電子データで受け取るには、政府が運営するオンラインサービスであるマイナポータルを使わなければなりません。手順は下記の通りです。

(1)マイナンバーカードの取得

 マイナポータル利用のためには、マイナンバーカードの取得が必須です。顔写真を撮影し、交付申請をして、市区町村が交付通知書を発送するまで、概ね1か月程度かかっており、ここが一番のハードルかもしれません。特別定額給付金(10万円)申請等ですでにマイナンバーカードを取得済みの方は、すぐに(2)に着手できます。

(2)マイナポータルの利用

他のサイトをマイナポータルと一体的に使えるようになる「もっとつながる」から、「e-私書箱(野村総合研究所)」とつながり、「つながる」サービスで、保険会社から保険料控除証明書の電子データを入手できるようになります。自身が加入している保険会社の対応が終わっていれば、いままでのはがき等の紙の証明書から電子データに移行できます(勤務先での電子対応が大前提)。

 少し前まで、国が、キャッシュレス化推進やマイナンバーカード取得とマイナポータル利用促進のキャンペーンを行っていましたので、環境が整っている方は意外と多いかもしれません。踏み出してみましょう。

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