どんな風に課税しているのか

「社長のおごり自販機」

従業員2人が同時に社員証等をかざすと飲料代が無料になる自動販売機を設置する企業が増えているそうです。会社負担の飲料代は、少額なので給与課税の対象になっていないようです。

自販機を設置するまでもなく、経営者が職場の福利厚生として、TeaTimeの時間の飲み物やおやつの提供をしているのは、珍しい事例ではないと思われます。社長が2000円だけの負担で済むふるさと納税をして、受け取る返礼品を職場に提供しているとか、会社が受け取るお中元やお歳暮、手土産品を職場分配している、というようなことも日常茶飯事のことと思われます。これらの職場での役得利得について給与課税されているという話は聞かれません。

食事代給与課税通達

 しかし、会社が従業員に食事を支給した場合は、従業員が食事代の半分以上を負担し、1か月当たり税抜き3500円以下という要件を満たさないと給与課税されるという通達があります。しかし、給与課税通達は本当に機能しているのでしょうか。

3食無料社内レストラン

 Google合同会社、GMOインターネット㈱、楽天㈱などの大企業のホームページでは、朝・昼・晩3食の無料食堂についてネット公表しています。社員だけでなく派遣社員、アルバイト、外注業者、警備員、そして来訪客も無償利用できます。

楽天㈱のホームページでは、「カフェテリアのあるオフィスでは、食事を基本無料で提供しています。メインメニューはすべて日替わりで、その日の気分や好みに合わせて、選択することができます。しっかり食べたい人に向けたメニューから野菜中心メニュー、また、一部のカフェテリアではハラル、インドベジにも対応しています。様々なニーズに応えたバラエティ豊かなメニューが好評です」などと謳っています。他の会社も似ています。

食事代通達は機能不全

若い人の平均食費は月6~8万円とのネット情報もありますが、どこもバイキング方式で、個々の誰がどういう食品を選択して食したか把握するのは困難です。さらに社内食堂の場合は材料代のみが給与課税判定の対象であり、一人一人の材料食事代を捕捉するのは限りなく困難です。

社内食堂のない中小企業にだけ食事代課税通達が機能 

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過少申告・無申告でも加算金・重加算金は課されない

修正申告や更正決定処分があると

 申告納税制度を担保するためとして、当初申告が過少申告だったり、無申告だったりした場合、ペナルティとして国税では加算税、地方税では加算金が課せられます。

 加算税には、過少申告加算税、無申告加算税、重加算税があります。過少申告加算税としては、追加本税の10%が課されますが、追加本税が期限内申告税額と50万円のどちらか多い方の金額を超える場合は、その超過部分については、さらに5%追加加算されます。無申告加算税としては、納付すべき税額の50万円までについては15%、50万円超の部分については20%、300万円超の部分については30%が課されます。

仮装隠蔽・偽り不正の場合

 上記の各加算税が課される場合で、仮装隠ぺいによる申告・無申告の場合には、過少申告加算税の代わりに追加本税の35%、無申告加算税の代わりに納税額の40%が重加算税として課されます。

遅延利息は更正決定無しに賦課

 さらに、納税の遅延には、原則として法定納期限の翌日から納付日までの日数に応じて、利息に相当する延滞税が自動的に課されます。地方税では、延滞金と言います。

延滞金だけしか課せられない

 ところで、地方税法での加算金、延滞金も、国税の加算税、延滞税と同じ性質なので、同じように課されるものと思いがちですが、住民税としての都道府県民税及び市町村民税の大部分には、延滞金は課されますが、加算金、重加算金は課されません。

 加算金、重加算金が課せられる税の種類を地方税法で確認すると、分離課税に係る所得割、法人の事業税、配当割、株式等譲渡所得割、利子割、たばこ税、ゴルフ場利用税、環境性能割、鉱産税、入湯税、事業所税、水利地益税、特別土地保有税、軽油引取税、法定外普通税において条文規定があります。ここでは、分離課税とされる退職所得の住民税、法人事業税について規定の存在が確認できますが、法人住民税、個人住民税、個人事業税については、その規定が確認できません。

 なぜかについては、法人住民税の課税標準が所得ではなく法人税額であり、法人税の附加税と性格付けされている、個人住民税・個人事業税が申告納税ではなく、賦課課税であることなどに理由がありそうです。

地方法人税は地方交付税の財源で実質は地方税だが形式としては国税なので加算税の対象となる。

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