土壌汚染のある土地の評価

工場跡地でマンションや商業施設などを開発するとき、特定有害物質による土壌汚染が見つかることがあります。土壌汚染は人の健康を害するため、土地所有者等は土壌汚染対策法により、汚染状況について専門機関による調査を行い、都道府県知事に結果報告が求められます。基準に適合しない場合は区域の指定を受け、汚染土壌の除去や封じ込め等の措置が求められます。

土壌汚染された土地は、減価される

土壌汚染対策法は平成14年に制定され、国税庁は、平成16年7月、汚染された土地の評価について原価方式を基本とする資産課税の取扱いを公表しました(16年情報)。

その後、国税不服審判所の裁決事例が積み重ねられ、国税庁は令和6年7月、土壌汚染のある土地の評価について原価方式を踏襲しつつ、あらためて資産課税の取扱いを整理し、公表しました。新たな取扱いでは、特定有害物質による汚染状態が環境省令で定める基準に適合しないことが明らかな土地は、土壌汚染の調査・対策の義務付けの有無にかかわらず、土壌汚染地に該当することが明記されています。

相続評価は原価方式

原価方式は、不動産鑑定評価で採用される評価法です。「減価のない土地の評価額」から「浄化・改善に要する費用」「使用収益の制限を受けることによる減価相当額」「心理的要因による減価相当額」を控除します。

浄化・改善費用は、汚染がない土地の相続評価額が地価公示価格水準の8割程度とされるため、同様に見積額の80%相当額で評価します。使用収益の制限とは、封じ込め措置をとる場合、地中に特定有害物質が残留して土地の利用制限を受けることによるものです。心理的要因による減価とは、土壌汚染があることによる嫌悪感から生じるもの(スティグマ)をいいます。

除去・改善費用は確実な債務として控除

浄化・改善費用について見積額が確定しているときは、浄化・改善措置の実施が確実であることから「確実と認められる債務」として評価額から控除します。また、都道府県から助成金が交付される場合は、債務額から助成金の額を控除します。

汚染の原因者には求償できる

土地所有者等は土壌汚染の原因者に除去に要した費用を求償できます。求償権も相続財産として計上します。また、回収が困難であるときは、財産評価基本通達に則して貸付金債権の評価を行います。

自主的な土壌汚染調査によっても、都道府県知事に区域指定を申請できます。

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中途採用とリファレンスチェック

リファレンスチェックとは

 リファレンスチェックとは、企業が中途採用を行う場合に、採用しようとする候補者の前職の上司や同僚等に、当該候補者の在職中における勤務状況等について、問い合わせを行うことを言います。外資系企業では、リファレンスチェックは採用手続きの1つとして一般的に使われている手法ですが、国内企業でも近年広がりを見せ始めています。また、企業からリファレンスチェックを請け負う業者も増加傾向にありますが、ここでは企業自らがリファレンスチェックを行う場合の法的な注意点を中心に解説します。

リファレンスチェックの法的注意点

 まずは、個人情報保護法との関係です。リファレンスチェックでは、候補者の前職での業務内容、勤務態度、勤務成績などを確認することになると思いますが、これらの情報は、候補者の個人情報に該当し、その内容によっては要配慮情報に該当することもあるため、その取得にあたっては利用目的を特定し、本人に通知しなければなりません。さらに、要配慮情報に該当する場合には、当該情報の取得について本人の同意を得る必要もあります。

 個人情報保護法の他にも、職業安定法では、候補者(求職者)の個人情報を収集するにあたり「その業務の目的の達成に必要な範囲で、目的を明らかにして収集すること」が求められています。また、指針において社会的差別の原因となるおそれがあることから、原則として①人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項②思想及び信条③労働組合への加入状況に関する情報の収集を禁止しています。

なお、法律ではないものの、厚生労働省が「採用選考は、適性や能力に基づいた採用基準とするべきであり、適性や能力に関係のない事項(家族や家庭環境に関すること、必要性が認められない健康診断の実施等)は、職業差別につながるおそれがある」としていることにも注意が必要です。

リファレンスチェックは、企業が求める人材確保の判断材料となる一方で、使い方を間違えると、思わぬトラブルに発展することも考えられます。特に、法律上の規制には注意しましょう。

正しく使って採用戦略の強力な武器にしましょう

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