遺贈寄附という選択

いつか自身に起きる相続。これまでの人生を振り返り、生きた証として財産を社会に貢献する事業に役立てたい、そんな思いを伝える手段の一つが遺贈寄附です。

遺言による遺贈寄附と相続財産の遺贈寄附

遺贈寄附とは、国や地方公共団体、公益法人等に、財産を遺言で贈与すること、及び、被相続人の生前の意思を引継いだ相続人が、相続財産を贈与することをいいます。

遺贈寄附の手続き

まずは遺贈先の選定です。新聞、雑誌、TVの報道、ネット情報から社会貢献する団体の活動に触れて支援する法人を探します。

紛争地帯で医療や住居などを支援するNPO法人は、寄附先としてお馴染みですが、最近は博物館や地方自治体の動物園など、親しんだ団体に遺贈する人もいるようです。

寄附は現金のみ受付し、不動産は売却、換金したうえで遺贈を求める団体が多数ですが、不動産を受け入れる団体もあります。

遺贈先が決まったら、遺言執行者を選定して遺言書を作成します。税理士をはじめ、弁護士、司法書士、行政書士など専門家に相談しましょう。遺言は公正証書遺言、または自筆証書遺言を選択できます。

不動産等の遺贈は譲渡所得課税に注意!

土地や建物、株式など譲渡所得の基因となる財産を法人に遺贈した人には、その財産の取得から遺贈時までの値上り益に譲渡所得税が課されますが、国税庁長官に申請して承認を受けた場合は非課税となります。

ただし、遺贈した人の所得税の負担や、遺贈した人の親族のほか特殊関係人の相続税、贈与税の負担を不当に減少させる場合には、非課税承認は取り消され、遺贈した人、又は遺贈先の法人に譲渡所得税が課されることになるので注意を要します。

また、相続人が被相続人の意思を引継ぎ、相続財産を国や地方公共団体、公益法人等に贈与する場合にも相続税を非課税とする制度があります。この場合も不動産等の贈与について譲渡所得税を非課税とするには、国税庁長官の承認が必要です。

相続人の遺留分にも配慮を忘れない!

社会の高齢化が進むなかで遺贈寄附の希望者も増えていくのではないでしょうか。ただし、相続財産には遺留分があります。遺贈寄附を決めるときは、相続人の遺留分にも配慮して後でトラブルが生じないよう検討することを忘れないようにしましょう。

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新型コロナウィルス感染症が雇用・労働に及ぼした影響

令和3年版『労働経済の分析』より

2020年に新型コロナウィルス感染症の影響を大きく受けた労働経済でどのような影響がどれくらいあったのか、分析結果が発表されたので紹介します。

感染拡大の防止のための経済活動の抑制により2020年4月には就業者数、雇用者数が約100万人減少。その後穏やかに回復したが年内には元に戻らず、一方で非労働力人口は4月に約100万人増と大幅に増加した後、穏やかに減少し元の水準に戻っています。

 就業者数、雇用者数が減った一方、完全失業者数、完全失業率は緩やかな上昇傾向で10月には完全失業率3.1%でした。

労働移動・労働環境

感染症の影響は2021年も労働経済を直撃しています。早く収束しますように

転職者数(過去1年以内に離職経験のある就業者)の推移をみると、2020年は感染拡大の影響により2010年以来10年ぶりに減少に転じ32万人と減少幅も大きくなっています。転職理由も前年より変化し、2020年には「人員整理、勧奨退職」が増え、前年の「より良い条件の仕事を探すため」の転職者は大きく減少しています。

雇用者全体の賃金総額は企業の雇用維持の取り組みや政策の下支えにより小幅な減少にとどまっています。雇用調整助成金が失業の抑制とはなっているが成長分野への労働移動を遅らせています。産業別の雇用者の増減では、情報通信業や医療福祉関連は堅調に増加が続いているが、宿泊、飲食、卸売・小売、娯楽では減少幅が大きくリーマン・ショックの時のように製造業での減少が目立った例とは異なっています。

働き方改革に関連した指標の状況では法改正と新型コロナが重なったこともあり、長時間労働の是正で労働時間は大きく減少、年次有給休暇の取得率も上昇しています。

テレワーク定着に向けた分析

テレワークの実施状況を開始時期別にみると、感染拡大前からテレワークを実施していた企業や労働者の方が感染拡大下でテレワークを始めた企業や労働者よりも継続割合が高い結果が出ました。途中でテレワークを実施しなくなった企業の理由をみると業務の性質や感染の影響の外、仕事の進め方やテレワークの環境整備といった労務管理上の工夫が必要であり、対応可能な事項(コミュニケーション、業務進捗の把握、テレワークを行う環境整備等)などが課題となっています。

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