ドラッグストアの値引き販売とポイント付与での顧客の囲い込み
そんなに値引きして大丈夫なの?
某ドラッグストアのスマホアプリには「トクする」というタップ画面があり、最大15%引きのクーポンがもらえるチャンスがあります。医薬品や日用品を15%引きや10%引きして商売が成り立っていることにびっくりです。
経済産業省の商工業実態基本調査によると、小売企業における売上総利益率(=粗利益率)は、小売業平均で27.6%です。この利益率で15%も値引きしてしまうと人件費や家賃などの固定費を賄いきれませんが、そもそもドラッグストアは粗利益率が高い(35%くらい)業種なので、こうしたクーポンによる値引き販売でも成り立つようです。
安い食品で集め粗利の大きな商品を販売
ドラッグストアは食品を安くして(=粗利率は低い)顧客の来店頻度を増やして、
ついでに粗利率の高い日用品や医薬品を買
ってもらう収益モデルで成長してきました。しかしながら、昨今では競合店が「100m以内に乱立」などの厳しい状況となってきており、ライバル店に顧客を奪われないように、ますます顧客の囲い込みに注力しています。こうした背景で、会員証を兼ねたスマホアプリでの商品値引きやポイント付与(=さらにはドコモや楽天など他のポイント会社との提携で顧客はポイント二重取り)が増えてきているものと考えられます。
値引きとポイントで囲い込み粗利の積上げ
固定費を賄える利益を確保した後の売上にかかる利益(=粗利益)は、利益率が小さくなったとしても、利益(=儲け)が積み上がるだけです。顧客に値引きというお得感を与え、さらにポイント付与でその店のファン(=逆から見ると顧客ロイヤリティを高める)を増やせばライバル店に負けない集客と顧客単価の引き上げにつながります。
ドラッグストアの話は自社とは無関係だと思ってはいませんか。たしかに、粗利益を積み上げる対策は業種や各企業の個別環境によっても変わってきます。
共通して言えるのは、会計数字の分析をすることで、自社の利益の源泉はどこにあり、どこにどう手を加え強化すれば粗利益を積み上げる方策を打てるかが見えてくるということです。原材料費や人件費の高騰で価格の値上げをせざるを得ないケースが増えています。会計・財務の専門家である顧問税理士の手も借りながら、取り組んで行きましょう。
違う業態のビジネスモデルにも何かしらのヒントがあるかもしれません。興味の対象を拡げてみましょう。 |
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税理士高野好史事務所(栃木県宇都宮市)
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