省力化投資補助金採択結果を分析 採択の傾向と対策

製造・建設業が中心に採択拡大

中小企業省力化投資補助事業「一般型公募・第3回」の採択結果が2025年11月28日に公表されました。全体の採択件数は1,854件に達し、そのうち製造業が過半数の51.3%、次いで建設業が15.5%と大きな割合を占めています。本補助金が設備導入による業務プロセスの自動化・効率化を目的とする中で、機械投資との親和性が高い業種に好適であることを示しています。

補助額は1,500万~1,750万円帯が最多

申請額の分布をみると、「1,500万円以上~1,750万円未満」が最も多く20.7%、次いで「750万円~1,000万円未満」(14.3%)、「1,000万円~1,250万円未満」(11.3%)となっており、全体的に1,000万円超の申請が主流であることが分かります。部分的な省力化よりも、複数工程にまたがる包括的な設備導入やシステム統合の提案が、審査において有利に働くと推察されます。実際に採択された事例では、AMR(自律搬送ロボット)や自動包装ラインなど、導入効果が定量的に示された提案が目立ちます。

従業員数や資本金にも傾向あり

従業員規模では「6~10人」が最も多く14.7%、次いで「5人以下」が14.1%と、小規模事業者の採択も一定数見られますが、一方で「31人以上」になると割合が減少していく傾向があります。資本金別では「1,000万~2,000万円未満」が31.1%と最多であり、法人格を持ち一定の財務基盤を有する中堅規模の中小企業に分があります。個人事業主はわずか2.9%に留まっており、補助金申請の準備態勢や事業実行力が問われる内容であることを裏付けています。

実行性と定量効果の提示が鍵

本補助金の審査においては、単なる機器の導入ではなく「何が、どのように、どれだけ省力化されるか」を明確に数値で示すことが極めて重要です。例えば、ある製造業では出荷作業が80時間から20時間へ削減された事例や、小売業においては延べ70時間以上の削減が実現されたケースもあります。採択されるためには設備導入前後の工数や人員配置の比較、コスト削減額など、実行性の裏付けとなる資料作成が採択の明暗を分けるポイントとなるでしょう。今後の公募に向けて、これらの傾向と審査観点を十分に踏まえた計画策定が求められます。

しっかりとした採択実績の分析で採択率が高まるね

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プロ野球ドラフト会議で指名を受けた新人の契約金に係る課税

夢の契約金は全額一時に課税されるのか?

 プロ野球の新人選手選択会議(ドラフト会議)は毎年10月に開催されます。子供のころからプロ野球選手になることを夢見てきた野球小僧たちの熱い思いが実現する第一歩です。ドラフト1位の契約金の最高標準額は「1億円+出来高5千万円」と12球団の申し合わせで決められているようです。

 日本の所得税法では超過累進税率という課税方法が採用されており、課税対象の所得の額が多くなるにつれて、その「超過した部分」にのみ段階的に高い税率が課されるしくみとなっています。4千万円を超える部分に一番高い税率45%が適用され、さらに住民税10%も課され、所得に対して55%(=半分より多い)の課税となります。

 夢の第一歩で手にした契約金は課税の現実で半分に萎んでしまうのでしょうか?

臨時的所得や変動する所得は税の調整あり

所得税法では、ある年に一時的に大きな収入を得たり、年によって損益に変動があったりするような所得については、複数年を平均したところで税率を適用させることで負担の増減幅を減らしてくれる制度があります。これを平均課税といいます。

その対象となる所得は、権利金などの税法で基準が規定されている臨時的な所得と、漁獲や印税など変動のある所得が対象です。

職業野球の選手などが、3年以上の期間特定の者と専属契約を結ぶことにより、一時に受ける契約金で、その金額がその契約による報酬の2年分以上であるものの所得も臨時所得とされていますので、ドラフトでの新人の契約金も臨時所得となり一時の高税率での課税が緩和されることになります。

平均課税はどのように計算されるのか

平均課税は、超過累進税率で高い税率が適用され税負担が重くなることに対して、一時的な契約金等の臨時収入での高率課税や、浮き沈みの激しい業種や職種について複数年で考えて税負担が重くなりすぎないように配慮した制度です。

ものすごくざっくり言うと、平均課税が適用される場合には、課税される所得金額の5分の1に相当する金額が適用される税率を他の5分の4の課税所得にも適用して税金計算をして、税負担の緩和を図るというものです。

税法はできるだけたくさん税金を徴収するだけではなく、一時的に税金負担が多くなり偏ってしまわないような配慮もなされています。 

変動所得が適用される業種の方はもちろん、臨時所得が発生した場合にも、顧問税理士に相談して適正な税金申告をしてもらいましょう。

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