拠出限度額の引上げ DC iDeCo iDeCo+の促進

老後生活安心プランのNISAとDC

 老後に向けた資産形成促進制度としては、「貯蓄から投資へ」の政府政策を基とした「資産所得倍増プラン」として運用益を非課税とするNISAと拠出額をも非課税とする確定拠出年金(DC)があります。

 DCでは拠出された掛金が個々の加入者の持分として明確化され、加入者が自己責任で運用し、その運用の結果が年金等給付額となります。DCには、企業型と個人型があります。

DC iDeCo iDeCo

 企業型DCでは、事業主が掛金を拠出します。限度額は月額5.5万円です。企業型年金規約に定めがある時は、加入者個人も事業主掛金を超えない範囲で拠出(マッチング拠出)もできます。

 個人型DC(iDeCo)は国民年金基金連合会が金融機関に業務を委託して実施し、加入者自身が掛金を拠出します。また、企業年金を実施していない中小企業事業主が、従業員の掛金に上乗せして掛金を拠出すること(iDeCo+)も可能です。

 拠出限度額は、国民年金第1号被保険者は月額6.8万円、企業年金がない第2号被保険者と第3号被保険者は月額2.3万円です。企業年金がある第2号被保険者は月額2万円です。

拠出時と受取時の課税関係

 DCの企業拠出金は拠出時には個人の所得にはなりません。個人拠出金は全額が所得控除の対象になります。運用益は非課税です。DCから個人が受取る時には、年金か一時金又は両方併用でとなり、全額が所得となります。年金としての受給では公的年金等控除の対象になり、一時金としての受給では退職所得控除の対象になります。

今年の促進策としての税制改正

 令和7年度税制改正で、確定拠出年金(企業型DC、個人型DC)の拠出限度額が次のように引上げられます。

  • 第2号被保険者の企業型DCの拠出限度額を月額5.5万円から6.2万円に引上げる。

②第2号被保険者のiDeCoの拠出限度額を月額2万円又は2.3万円から6.2万円に引上げる。

③第1号被保険者の拠出限度額(iDeCoと国民年金基金で共通)を月額6.8万円から7.5万円に引上げる。

④企業型DCのマッチング拠出での事業主掛金の範囲内との限度要件を廃止する。

iDeCoへの取組みを促進させるには、加入手続きをもっと簡便にすべきです。

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税金よもやま話 肉用牛は税金なし!?

牛肉の自給率はここのところ横ばい

 ステーキ、すき焼き、牛丼にハンバーグ。牛肉が大好き、という方も多いのではないでしょうか。そんな牛肉の国内の自給率は平成に入ったあたりから横ばい状態が続いており、農畜産業振興機構のデータによると、令和3年度の牛肉自給率は38%となっているとのことです。

 そんな牛肉ですが、肉用牛を売却した所得について、条件はあるものの、所得税や住民税が課されないケースがあるのをご存じでしょうか?

肉用牛売却所得の課税の特例措置

 この特例は農業を営む個人及び農地所有適格法人が肉用牛を売却した所得について、所得税・住民税共に免税になるものです。

 農業を営む個人は「米・麦・野菜、その他作物(飼料用作物も含む)や、果樹の栽培又は養蚕の事業を併せて行っている」というのが条件です。

 対象の牛にも要件があり、特例対象になるのは肉用種か、肉用仕向けの乳用種で、種雄牛や、肉用牛の子取り用(子供を産ませる)雌牛で固定資産に該当する牛は除外されます。また、100万円以上で売却された肉用牛で高等登録牛ではない牛や、80万円以上で売却された交雑種の牛、50万円以上で売却された乳用種の牛も非対象となっています。要は高値で売れたものはだめです。

 特例対象の売却の場所も定められており、認定されている市場でなければなりませんし、2か月以上飼養期間がなければいけません(自生産の子牛を除く)。また、免税になるのは1事業年当たり1,500頭までです。

肉用牛飼養戸数は年々減少中

 制限は多いものの、丸々免税という大胆な措置の背景には、肉用牛生産農家の経営体質を強化し、国産牛肉の安定的な供給を目指す国の姿勢が伺えます。

 全国肉用牛振興基金協会のレポートでは、令和4年の肉用牛飼養戸数は約40,400戸で、昭和50年から比べると1/10になっています。大規模化で飼養頭数については近年増加減少を繰り返している横ばい状態をなんとか保っています。肉用牛業界では、飼料・家畜・堆肥という循環型サイクルで環境負荷軽減にも着手しています。

 この税の特例措置が、経営の厳しい畜産業者の一助になっていることを願っております。

令和5年度改正で適用期限が令和8年度まで延びています

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