今年の改正税法 所得税・住民税の課税方式統一

配当金を巡る3つの課税方式

 上場株式の配当金が支払われる際には、所得税等が源泉徴収されます。復興特別所得税を除き、税率は、20%(所得税15%、住民税5%)です。

上場株式の配当金について総合課税を選択すると、配当控除が適用できます。上場株式の配当金について申告分離課税を選択すると、上場株式等の譲渡損失との損益通算や繰越控除の適用を受けることができます。また、申告不要(源泉分離課税)を選択することもできます。

選択の基準

所得税の累進税率から配当控除率(10%)を引いた差引税率が源泉税率(15%)に満たないのは、23%-10%=13%<15%なので、累進税率23%の適用となる課税所得金額900万円以下の場合、所得税での総合課税選択有利の指標となります。

また、住民税は、10%の一律課税なので、配当控除率2.8%を引いた差引税率は、10%-2.8%=7.2%>5%(特別徴収税率)となり、常に特別徴収税率を超過するので、総合課税の選択は、税負担的に不利です。

それで、所得税では総合課税の選択をし、住民税では、申告不要(源泉分離課税)を選択するのが、有利となります。その上、申告不要の選択で、住民税の合計所得金額が減るので、国民健康保険等の保険料や医療機関における窓口負担額を減らす効果もある、と言われています。

朝令暮改的な今年の改正

 昨年の税制改正では、所得税確定申告書の中の記載だけで、所得税と異なる住民税の課税方式選択が完結できるよう、手続の簡素化がなされました。

ところが、このように制度の普及促進をしたばかりなのに、今年の改正では、異なる課税方式選択可能制度を廃止し、所得税と住民税との課税方式を一致させることにしました。この改正は、令和6年度分以後の個人住民税について適用です。

 そうすると、令和5年分からの所得税確定申告では、所得税と住民税の両方の税負担合計を計算して、総合課税(配当控除)と申告不要(源泉分離)との選択をすることになります。徴収税率20%と比較すると、

(23%+10%)-(10%+2.8%)=20.2%

(20%+10%)-(10%+2.8%)=17.2%

となるので、総合課税選択は、累進税率20%の適用となる課税所得金額695万円以下の場合ということになります。

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今年の改正税法 過年度への遡及適用の珍事例

遡及適用違憲の訴訟

 不動産の譲渡所得を総合課税から分離課税にする改正税法を公布の日より前の年初に遡って適用するとしたことにより、幾つかの遡及立法違憲無効訴訟が起きたのは、2004年の税制改正でした。2011年の最高裁判決は、所得税は期間税なのだから、納税義務の確定日としての12月31日からすれば遡及には当たらない、と言い、適用を4月以降とすることが憚られるほどの緊急の遡及立法の必要性があったと述べて、遡及立法合憲・納税者敗訴としました。

敗訴でも事実上の勝訴効果

 しかしその後、その判決内容の納得性の欠如を指摘する多くの判例評釈が書かれ、また、この判決以後に於いては、納税者不利益遡及立法だけでなく、遡及立法一般がほとんど行われなくなりました。

問題にならない遡及適用もあります

 ところが、今年の税制改正では、何年も遡及することを前提にしたものが2件ありました。納税者に不利益をもたらす内容の改正ではないので、係争になる余地はないのですが、極めて珍しいケースと言えそうです。

ソフトバンクスキーム潰しの立法にミス

 その一つは、ソフトバンクスキーム潰しと言われた子会社株式簿価減額特例の見直しです。スキームは、外国から買取った子会社に配当をさせて、その子会社の株式評価額を下げ、その後に子会社株式を譲渡して譲渡損を発生させるというものです。それへの対抗策として、評価を下げることになる配当では株式簿価が切下げとなる規定創設で譲渡損発生を防止することにしました。しかし、期中利益の期中配当は、評価減を生まない配当なので、簿価減額処理の対象外であるべきはずだったのに、立法ミスだったのか、そのように制度化されていませんでした。それで、この規定修復がなされ、規定創設時である2020年4月1日への遡及適用とされました。

違法無効判決を承けて

 もう一つは、最高裁判所の判決(令和3年3月11日)が、政令を違法・無効とする内容だったことを承けての見直しです。利益剰余金と資本剰余金の双方を原資とする剰余金の配当(混合配当)での、みなし配当の額の計算結果が、資本剰余金を超える資本金等の額の支払いになってしまうという異常部分の修正です。この改正は、違法無効部分の除去なので、更正の請求の可能な限りの遡及適用となります。

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