この分割行為は適格でしょうか?

含み益課税の所得転換組織再編スキーム

 個人の100%支配下にある法人について、その会社の所有であった含み益が大きい不動産を、新設分割型分割での新設会社に所有権移転する予定です。不動産の外部売却だと含み益の実現で大きな法人税課税が生じてしまいます。それで、会社分割での不動産所有会社の売却という方式にできると、有価証券の売却益ということになるので、個人の所得税としては分離課税で節税になります。そういう節税目的での組織再編です。

M&Aでの不動産所有会社の売却については、今のところその行為に着手はしていません。いずれ遠からずのことと思案しているだけなのですが、この分割行為は適格でしょうか?

適格分割の要件の検討

① 分割対価が株式のみで、株主への株式交付が持株割合に応じた比例配分か

② 分割法人も新設分割法人も完全支配関係下にあるか、そしてその支配関係が分割後も継続すると見込まれているか

この①②の要件のうち①は完全に事実要件ですが、②は「見込まれている」という意思の基準なので、やや曖昧な要件となっています。

なお、「見込まれている」とは、分割時点で支配関係が継続すると「“見込まれる”こと」が要件であり、将来的な売却の「漠然とした意向」や「計画段階にすぎない話」は、原則として適格性を否定する事由にはなりません。

組織再編成に係る行為計算否認の対象?

 組織再編の適格判定で、適格性の否認を受けることがなくても、不動産売却益実現の繰延べを実施するスキームは、租税回避として行為計算規定の発動の対象になるか、というテーマが残っています。

 でも、スキーム自体はそれほど特異でも想定困難とも言えません。それに、同じ条件で、不動産を分割先会社に移すのではなく、分割元会社に残す場合には、適格要件に継続支配の要件がなく、即時売却を可とする制度になっています。分割元と分割先との相違だけから、片方だけを行為計算否認の対象になる、と言うのは余りに非対称性が過ぎます。

さらに、長期的には、当初の株式売却益課税と将来の不動産売却益課税との二重課税となるスキームでもあるのです。

節税が絡むと途端に過剰に用心深くなりますネ。

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適格組織再編での対称性・非対称性

兄弟会社の合併と兄弟会社の復活

 個人株主甲の下の100%支配会社AとBを合併する適格組織再編をしたとします。そして、その適格合併後に、B社を個人甲の下に兄弟会社として復活させようとして、A社を分割型分割の適格組織再編をすると、B社が復活します。このように、兄弟会社の合併と、その後一つになった会社の分割型分割による兄弟会社の復活は、適格組織再編税制において対称性のある制度となっており、双方向への適格組織再編は極めてシームレスです。

兄弟会社の親子化と兄弟会社の復活

 個人株主甲の下の100%支配の会社AとBを適格株式交換という手法で100%完全支配の親子会社にすることができます。その後、個人株主甲の下でA社とB社を親子会社から兄弟会社に戻すとしたら、少し厄介です。逆方向の株式交換や子会社株式を個人甲に現物分配(又は株式分配)する手法が適格組織再編とされていないからです。

 でも、不可能ではありません。完全親会社A社について分割型会社分割をして、B社株だけ持つ会社としてA2社を創り、その後、A2社の完全子会社のB社が、完全親会社のA2社を吸収合併する、という手法を使えば可能になります。このように、兄弟会社の親子会社化と親子会社の兄弟会社化は、適格組織再編として可能ではあるものの、双方向への再編はシームレスではありません。

制度の対称性・非対称性について

 株式その他の所有権移転に際して時価課税する税制において、組織再編成については、実質的に支配関係・所有関係が継続していると認識し、課税繰延べにしても問題ないと言える場面に限り、適格組織再編の制度が用意されています。そういう組織再編の制度設計上の課税繰延べ原理からすると、法人株主支配の下での組織再編が中心的な適用対象で、個人株主甲の支配ではなく、法人株主Pの100%完全支配関係下にある親子会社AとBだったら、適格株式交換で法人株主Pの下での兄弟会社化はシームレスに可能になっています。

 個人株主の支配下での組織再編については、課税繰延べの対象にはし難い場面が多く、組織再編の容易化は制限されており、冒頭の合併・分割の所だけが逆に例外の箇所になっています。

合併・分割の所だけが例外的に対称性あり。

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