2026年版中小企業白書を読み解く 金利上昇と資金調達の今

金利は高止まり、借入負担が増している

日本銀行が利上げ方向へと政策を転換する中、中小企業の資金調達環境は大きく変わりつつあります。2026年版中小企業白書によると、中小企業の借入金利水準判断DIは足下では若干低下しているものの、依然として高い水準が続いており、多くの企業が金利上昇の重荷を肌で感じていることが分かります。長らく続いたゼロ金利・低金利時代が終わりを告げ、借入コストを意識した財務管理が改めて強く求められる局面に入っています。変動金利で借入を行っている企業は、返済額の増加を具体的に試算した上で、手を打つタイミングを逃さないことが今まさに急務と言えます。

円安と物価上昇がコストを直撃する

さらに深刻なのが、円安と物価上昇の長期化です。2025年度も歴史的な円安水準は継続しており、円ベースで見た輸入物価指数は高い水準が続いています。国内企業物価指数と消費者物価指数も引き続き上昇傾向にあります。原材料・エネルギー・食品などを仕入れる中小企業にとってコスト増加圧力は一段と強まっており、価格転嫁が十分に進まない企業ほど収益が削られ続けるという厳しい現実があります。自社のコスト構造がどう変化しているか、専門家に相談してもいいかもしれません。

借入金増加と現預金横ばいが示すリスク

財務省「法人企業統計調査年報」によると、中小企業の借入金等は直近では増加に転じており、現預金残高は横ばいで推移しています。借入金が増加傾向にある中、金利負担の増加が重なることで資金繰りへの影響が顕在化しやすい状況が続いています。こうした時こそ手元流動性の水準を定期的に確認し、いざというときのために早めに手を打てる態勢を整えておくことが重要な意思決定と言えるでしょう。

資金繰りの「見える化」が最初の一手

こうした局面だからこそ、自社の資金繰り状況を「見える化」することが最初の一手です。借入金が月商の何か月分にあたるか、返済に何年かかるか、この2つの数字を把握するだけで、金融機関との交渉も資金調達の判断も大きく変わります。金利優遇のある政策金融の活用も選択肢に入れながら、手を打つなら早いほど選択肢は広がります。

物価の上昇が続く限り、金利は上がっていくことが予想されます。

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非常時に備える食料品や備品の税務上の取り扱い

企業が備蓄する非常食の経費計上時期は?

 2026年8月13日に線状降水帯が千葉県を中心に襲い、帰宅困難者となった人々に成田国際空港会社(NAA)や県庁ほかが避難場所と非常食等を提供しました。民間企業でも帰宅できず会社で過ごす選択をした人たちもいたことでしょう。

各自治体も帰宅困難者対策条例で、企業に対して従業員の3日分の備蓄を努力義務として課しています。

 企業が備蓄する非常食等は、実際の災害発生時の経費であり、それまでは「貯蔵品」として資産計上すべきなのでしょうか?

非常用食料品の取り扱い

 先に答えを言うと、国税庁の質疑応答事例でも、「備蓄時に事業供用があったものとして、その時の損金の額(消耗品費)に算入して差し支えありません」としています。

理由として、非常時に備えるものは繰り返し使用するものではなく消耗品としての特性をもつものであること、災害時用の非常食は備蓄することをもって事業の用に供したと認められること、などとしています。

通常の消耗品は、期末に未使用分が残っている場合、一度「貯蔵品」などの資産として計上し直すのが原則です。しかし、災害用の非常食や保存水は「備蓄すること自体が本来の目的」であるため、例外として購入した事業年度に全額を経費(損金)として処理できます。すなわち、非常用食料品等は、実際に被災して消費した時ではなく、社内に配備した時点で経費になります。

高額備品や特定社員のみへの配布の場合

次のような場合、取り扱いが変わります。

(1)高額な非常防災備品・設備の取得

1個で10万円を超えるような避難設備(事業継続計画対策の非常用発電機や大規模な防災倉庫等)を購入した場合は、税法規定に則り資産計上し、減価償却(数年にわたって費用化)が必要となります。

(2)特定社員のみに配布する場合

 特定の社員だけに非常食を配布する場合、その社員への「給与(賞与)」とみなされる可能性が高くなります。企業の防災対策ではなく、個人への経済的利益の供与とみなされるためです。

給与となれば源泉税の問題も発生し、役員賞与となれば損金となりません。仕入税額控除の対象外となるリスクもあります。

※フードバンクへ食品を提供した場合等、例外的な事実(寄附金関連の可能性?)が発生したら、会計事務所にご相談ください。

賞味期限到来等による買い替えに要する費用は配備した日の属する事業年度の損金(経費)に算入して構いません。 

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