その外国会社への請求書、消費税が請求漏れとなっていませんか?

輸出品だから全部免税というわけではない

 事業主が国内で商品の販売をしたり役務の提供をしたりすると、原則として消費税がかかります。しかし、これらが輸出取引に当たる場合には消費税が免除されます。消費税などの間接税は、消費される国で課税されるよう国境税調整により税を課さないことが国際慣行となっているためです。

輸出免税は事業者にもよく知られていて、輸出=消費税なしとの認識が多いと思われます。しかしながら、輸出免税を受けるためには、資産の譲渡等が輸出取引となることについて、その輸出取引等の区分に応じて一定の証明が必要です。

なお、最終的に輸出されるものであっても、①輸出する物品の製造のための下請加工や②輸出取引を行う事業者に対して行う国内での資産の譲渡等は輸出取引ではないので、輸出免税とはなりません。

新たな取引形態が発生する場合、その課税関係について、会計事務所に事前に相談しましょう。

また、輸出の取引条件によっては、買主が外国企業であっても国内譲渡とされ、輸出免税とならない場合(Ex-Works:EXW=工場渡しの場合)もあります。要注意です。

外国と直接取引だから全部免税でもない

 非居住者に対して行われる役務の提供は、①国内資産の運送保管、②国内での宿泊や飲食、③その他国内において直接便益を享受するものを除き、輸出免税の対象になります。

 役務提供などの場合には、その契約書などで一定の事項が記載されたものが、輸出取引等の証明として必要です。

 役務提供を受ける者が日本国内に支店又は出張所等を有していれば、そこと取引があったものとして輸出免税から外れます。しかしながら、外国の本店等とのみの直接取引であれば免税となりますが、国内支店又は出張所等の業務と関連するものでないことが条件とされます。条件確認が複雑です。

消費税請求漏れを追加請求で回復できない

 相手が外国の会社(=非居住者)だから消費税の課税はないと思い込んで消費税を付加しない取引を行い、後日税務調査などで消費税の課税漏れを指摘されたような場合には、その課税漏れ分は自社の負担となってしまいます。よっぽど販売側の力関係が強い場合でない限り、税金を追加でもらうことはできません。取引時に慎重に課税の有無の検討が必要です。注意しましょう。

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自署義務規定廃止から押印義務規定の削除へ

署名の義務の廃止が先

 3年前は、法人税申告書等には、代表者と経理責任者の自署押印義務があり、違反には、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処すこととされていました。

 この規定は、電子申告における税理士関与の場合の、税理士以外の電子署名を要しないとする行政手続オンライン化法下の実務実態と、著しい齟齬を来たしていました。

そして、平成30年の改正で、自署・押印制度は、電子申告の普及を妨げる要因として廃止されました。ただし、国税通則法の記名押印が必要との規定は残されたままでしたので、紙での申告では、押印が要求されていました。

自然進行としての押印文化の消滅は?

 行政手続の電子化が進行すれば、ペーパーレスとなり、押印の機会そのものが減少し、絶対必要なもの以外の押印は、長期的にはなくなるだろうとの、静かなる変化は誰しも想定していたところです。

でも、押印文化の牙城は役所そのもので、この牙城の存在が社会全体の押印文化消滅への歯止めの役割を果たしており、いわんや牙城の自然崩壊など期待薄との判断もあったのだと思われます。

遡及立法・大綱立法の荒療治

 それで今度は、牙城の本丸での役所に係る押印の廃止です。「令和3年度税制改正大綱」が令和2年12月21日に閣議決定され、この日から、国税関係申告申請書類への押印の制度が、原則廃止となりました。

法改正としては、国税通則法の押印規定が削除されることにより、押印を不要とする制度が実現することになるのですが、税制改正大綱には、「改正の趣旨を踏まえ、押印を要しないこととする税務関係書類については、施行日前においても、運用上、押印がなくとも改めて求めないこととする。」と書かれ、実質的な遡及立法を実行してしまうとともに、大綱の閣議決定による事実上の制度創設を実行してしまっていました。

大綱による立法と言える珍しい事例となっています。

税理士法は旧態依然

 税理士法には、提出する租税申告書等に税理士と委任法人の代表者が署名押印しなければならない、との規定が残っていましたが、令和3年度の今回の改正で押印の文字は消えました。でも、署名の義務の規定の文字は相変わらず残ったままです。

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