清算会社の住民税均等割

清算期間中も住民税均等割は発生する

 コロナウイルスの感染拡大で、倒産・廃業が増え、また、余力のあるうちに事業を畳む選択も増えています。会社を解散して清算手続に入った場合も、法人税の均等割は払わなければならないのでしょうか?

「清算=事業を止めた」ので、「事業をしていることで所得の多寡に関係なくみんなで負担する均等割はもういらないのでは?」と思いがちです。しかしながら、税法規定からすると、「清算期間中も法人住民税の納税義務」は残ります。

 課税庁側の見解では、「会社法の規定では、清算期間中といえども清算目的で会社は存続し、その期間中は清算業務が会社の付随事業であるため、均等割を課税できる」としています。

過去の例では、事務所閉鎖後社長の自宅にて残務整理をしていた場合に、その社長の自宅が事務所等として均等割が課税された実例もあるようです。そのため、課税の根拠である「事務所又は事業所」の賃貸契約を解除して物理的になくなったものと思っていても、均等割を課税されない状況となることは難しいようです。

「事業廃止届」で課されない場合もある

一方で、事業を廃止したので事業は行っていないという届出を根拠に、均等割が課されないケースもあるようです。

会社法規定に従った清算手続を行うには時間も費用も掛かります。一方、清算手続をせずに、事業廃止届を出して休眠会社として放置しておけば、事業活動がゼロとなり、均等割は課されない状況となります。その後、最後の登記から12年が経過すると、会社法の規定で、法務局によるみなし解散の手続となります。12年間会社を残したままという不安は残りますが、均等割もそのあとの税金問題も、青色申告の取り消しという問題を除けば、放置でおしまいとする選択も少なくありません。きちんと整理すると課税され、放置したら課税されずに済むという不合理が生じます。

地方自治体の事実認定と実務運用次第?

 自治体によっては、事実認定として事務所等がないとなれば、清算期間中でも「事業廃止届」の提出により、均等割を課さない運用をしているところもあるようです。

 事務所等の実体がある場合には「事業廃止届」を提出しても事実と違うわけですから均等割課税となりますが、そうでない場合には、課税団体に照会してみるという対応もあります。

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老齢厚生年金・老齢基礎年金の繰上げ・繰下げ

老齢厚生・基礎年金の繰上げ・繰下げとは

老齢厚生年金・老齢基礎(国民)年金の繰上げと繰下げの制度をご存じでしょうか?

 老齢厚生年金と老齢基礎年金の受給開始年齢は、共に原則65歳となっていますが、65歳になる前に受給開始する場合を繰上げ、66歳以降に受給開始する場合を繰下げといいます。なお、65歳の1年間は繰下げできません。

繰上げ・繰下げのメリット・デメリット

 老齢厚生年金・基礎年金を繰上げすると、月0.5%の割合で受給額が減額されます。例えば、繰上げの上限である60歳到達時から受給する場合、原則の65歳から受給開始と比べて30%減額され、70%の受給額となります。繰上げすると、老齢厚生年金と老齢基礎年金は同時に繰上げとなり、一方のみを繰上げすることはできません。また、いったん繰上げを選択すると、生涯変更できません。

 逆に繰下げの場合、月0.7%の割合で受給額が増額されます。70歳まで5年繰り下げた場合42%の増額となり、65歳からの受給開始に比べて4割以上も受給額が増えます。

 しかし、繰下げも注意が必要です。例えば、老齢厚生年金の繰下げ期間中、加給年金は支給されません。老齢基礎年金の繰下げ期間中、振替加算は支給されません。さらに、65歳以上で在職老齢年金の対象となる場合、支給停止された部分は繰下げによる増額の対象になりません。

 なお、老齢厚生年金と老齢基礎年金は別々に繰下げを選択でき、老齢厚生年金または老齢基礎年金のみの繰下げが可能です。

今後の繰上げ・繰下げに関する制度改正

 年金制度改正法(令和2年法律40号)により、令和4年4月以降、受給開始年齢の選択肢が拡大され、受給開始年齢の上限が70歳から75歳に引き上げられます。75歳まで繰り下げた場合、最大で年額84%の増額となります。一方、繰り上げる場合の減額率は月0.4%に変更されますので、60歳到達から受給する場合、従来の最大30%減額が24%減額へ減額幅が縮小します。

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