中年からの確定拠出年金

長生き時代に備えて

 中年になって住宅ローンを終えたり子供が独立したりして家計に余裕が出るころは自分の老後のことが気になる時期でもあります。公的年金や預貯金以外に何に投資しておくのがよいのか、これから老後に備えても間に合うには何がいいのか迷うところです。女性の4人に1人が約95歳、男性は約90歳まで生きる現在、長い老後に備えて自助努力として税優遇制度の利用は外せないでしょう。

知っておきたい確定拠出年金(DC・iDeCo )

DCには企業型と個人型があり、企業型DCの場合、会社が掛金を出しますので会社に制度があれば利用したいところです。上限はDCのみであれば月5.5万円まで掛けられます(他との併用は月2.75万円)。口座手数料も会社持ちです。掛金は会社負担ですので所得控除にはなりませんが運用時は非課税で増やせます。受給時も退職所得控除や公的年金控除の税優遇対象になります。

また、自分で掛金を積み増す「マッチング拠出」の積み増し分は所得控除の対象です。導入している企業にいるなら利用したいところです。

勤務先に企業型の制度がないなら個人型のイデコ(iDeCo)の利用で掛金の所得控除を受けながら運用することになります。

自営業なら月6.8万円、会社員、主婦、公務員は月1.2万円~2.3万円が掛けられます。

2022年度から制度改正で使い易く

確定拠出年金で積立てができるのは企業型が65歳未満、イデコは60歳未満でありますが22年5月からそれぞれ70歳未満、65歳未満に引き上げられます。ただし、イデコも60歳以上でも公的年金に加入する必要があります。加入年齢上限改定により受給開始年齢上限も70歳から75歳になります。

また、制度改正で企業型DCとイデコの併用は労使合意が必要でありましたが、22年10月からは原則併用できます。年齢が50代であれば給与がある程度高いので税制優遇による節税効果は大きくなるでしょう。

将来の年金受給見込み額が「年金定期便」に記載されてくるのでリタイア後の収入の予想で現在の生活費を基準とした老後資金の必要額を積立てで補いたいものです。

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履歴書新様式と採用手続きの変化

厚労省が公表した履歴書新様式

 昨年JIS規格の履歴書が様式集から削除され、新たに令和3年4月に厚生労働省で新様式が公表されました。

 新様式は性別欄任意記載、かつ扶養家族数(配偶者を除く)、配偶者、配偶者の扶養義務、通勤時間の諸項目が削除されました。

  • 性別の記載

 性自認の多様な在り方に対応するため、性別欄は任意記載とされました。

  • 扶養家族数、配偶者の有無、扶養義務の有無及び通勤時間

プライバシーの要素が非常に高いものとして項目欄を削除されました。公正な採用選考として、A応募者の基本的人権の尊重、B応募者の適性・能力に基づいて行うようにし、就職差別につながる恐れのある通勤時間や住居状況、生活環境、家庭環境などの把握は避けるとしています。扶養家族数や通勤時間は本人の能力と直接関係ない事項としています。

企業独自の履歴書も可能

新様式の法的拘束力はないとされています。募集したい人材に応じて企業が独自の履歴書を使用することも可能ですが、就職差別につながる項目は避けるべきでしょう。独自の履歴書の場合、今回の改正点をあえて前と同じにすることは時代に沿ってないなと判断されることになるかもしれません。今後特に指定しなかったときは新様式で応募してくる人が増えるでしょう。

問題点を質問にしておく

しかし採用側から見れば家庭の事情も知らずに働かせ、後でトラブルになっても困りますし、賃金額に影響するのに家族手当や通勤手当の金額が事前に把握できないのも問題です。

例えば扶養家族については「〇時くらいまで残業することがありますが対応できますか?」「全国転勤もあり得ますが対応できますか?」「月、年間の勤務時間の上限など希望はありますか」等を全員に尋ねることで厚労省の指導リスクは減らせるかもしれません。時間外労働や休日出勤、転勤、緊急対応等の可否情報を把握する必要がある場合は求人票、募集要項などに関連する情報を載せておくとよいでしょう。どのような情報が必要か質問を変えることの工夫が必要になるでしょう。

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