今年の改正税法 縮減されない住宅ローン控除

住宅ローン控除の今年の改正内容

ローン返済の利息の支払額よりも控除額が多い状態、逆ザヤ状態が会計検査院の指摘で問題視されていました。消費税率10%引上げに伴う措置期間も終了でした。

それらへの対応として、控除率が1%から0.7%に減少となり、所得要件も3000万円以下から2000万円以下となり、控除対象年末借入金残高限度額も4000万円から2000万円(新築等で2023年末入居までなら3000万円)に縮減となり、控除期間13年も10年(新築等で令和5年末入居までなら13年)に短縮となりました。

しかし、これらの縮減の例外があります。

非縮減その1 カーボンニュートラル住宅

2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルの実現を目指すため、省エネ性能の高い認定住宅の新築等に限り、住宅ローン控除の借入限度額を、令和5年末入居までなら5000万円(エネルギー消費性能向上住宅については4500万円又は4000万円)に増額、令和7年末入居までだと4500万円(エネルギー消費性能向上住宅については3500万円又は3000万円)に増額、控除期間も13年とされます。

非縮減その2 コロナ税特法

昨年の住宅ローン控除関係の改正税法は、コロナ税特法で立法されています。そこでは、令和3年9月30日までに契約した新築注文住宅、令和3年11月30日までに契約した分譲住宅・中古住宅の取得と増改築等、これらを令和4年12月31日までの間に自己の居住の用に供した場合には、縮減前の昨年の制度がそのまま適用になります。

コロナ税特法の規定が措置法で新設

 今年の税制改正大綱の中に、合計所得金額1000万円以下の者に限り床面積要件を40㎡に緩和する、と書かれています。しかし、昨年の税制改正大綱にも、合計所得金額1000万円以下の者については床面積40㎡から50㎡までの住宅も対象とする特例措置を講ずる、と書かれています。

 床面積要件の緩和は、既に昨年に措置済みのことなのに、少し変ですね。

これは、昨年は特別にコロナ税特法での措置としたが、今年は通常通りの租税特別措置法での措置として新設立法としたことの意味のようです。ただ、両規定で期間がかぶっているところがあるので、上記の「非縮減その2」が生じているわけです。

40平米基準二つあるんです・・・・

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会計検査院とはどんな組織なのか

税制改正に会計検査院の指摘対応

 令和4年度の税制改正にて、住宅ローン控除の大幅な見直しが行われましたが、発表等を見ると「会計検査院の指摘への対応」という文言があります。

 低金利の下、実際の住宅ローン控除の借入金利が令和3年までの住宅ローン控除の控除率である1%を下回っている、と指摘をしたのは会計検査院です。普段聞きなれないこの「会計検査院」はどんな組織なのでしょうか。

会計検査院の仕事

 会計検査院の仕事は簡単にいうと「国やその周りの組織の経理・財務を監督する」ことです。また、国の決算を確認するという職責も負っています。

 会計検査院という組織は明治22年(1889年)、大日本帝国憲法が発布されるとともに、憲法に定められた機関になり、財政監督を行ったのがはじまりです。その後の日本国憲法にも第90条にて規定がされています。ちなみに憲法に「会計検査院」という名称が明示されているため、名称を変えるには憲法改正が必要となります。

 簡単に経理や財務の監督といいましたが、その内容は多岐にわたります。例えばODA(政府開発援助)の検査や、医療費・年金の検査、消費税の検査や入札・契約手続きの検査等です。各項目について徴収不足や不正・誤りがないか、法令や制度に改善点はないか等をチェックし、不適切なものを発見したときには、指摘のみにとどまらず、是正や改善を要求する権限があります。

近年ではコロナ関係の検査も

 近年では国の財政に大きくかかわる新型コロナウイルス感染症への対策費や感染症対策等による財務への影響についてなどもレポートしており、一部報道などで話題に上がった陽性者接触確認アプリ「COCOA」の不具合対応について、厚生労働省に対して是正改善の処置を求める内容を公開しています。

 国会や裁判所に属さず、内閣からも独立した憲法上の機関として、様々な内容をチェックする会計検査院。「国の税務調査を行う税務署」みたいな印象を持ちますね。

会計検査院はwebサイトやフェイスブックページで情報公開を行っています。

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