総合課税譲渡資産でも控除可?

通達と解説で課税のあり方を開示

配偶者居住権に係る敷地利用権は、分離課税の「土地の上に存する権利」には該当しない、というのが新しく出された措置法通達の中身です。

土地に関係する権利ではあるが、借家権の場合と同じなので、その譲渡対価は当然に総合課税の譲渡所得になるとしています。

最近公表の「令和2年度税制改正の解説」にも、配偶者居住権の消滅による所得は総合課税の譲渡所得と考えられるから「土地の上に存する権利」には該当しない、と書かれています。

総合課税譲渡所得からの5000万円控除

租税特別措置法に関わる規定の適用は一般に「分離課税」と言われ、所得税法とは異なる課税関係となる仕組みがそこに構築されています。

今年の税制改正で、租税特別措置法の収用関連規定に、配偶者居住権と敷地利用権の消滅を譲渡とみなして5000万円控除の規定を適用するとされました。

もし、配偶者居住権等消滅に係るみなし譲渡所得が分離課税の長期・短期譲渡所得に該当せず、所得税本法の総合譲渡所得に該当するのだとしたら、5000万円控除は可能なのか、とふと疑問が湧きます。

租税特別措置法の条文の検討をすると

それで措置法条文を確かめてみると、収用の5000万円控除は、分離課税の長期・短期の譲渡所得のみならず、所得税法の山林所得及び総合譲渡所得からも出来ることが確認されます。

さらに、同時に改正された収用代替資産取得、収用交換、収用換地の規定についても確かめてみると、ここでは、分離課税の長期・短期の譲渡所得のみならず、所得税法上の事業所得、山林所得、譲渡所得、雑所得の各所得について、収用特例規定の適用を認めていることが確認されます。

通達と解説に対する疑問は解決

そうすると、冒頭の、措置法通達と「令和2年度税制改正の解説」が言う通りに、配偶者敷地利用権が「土地の上に存する権利」非該当の総合課税譲渡所得資産であったとしても、収用の5000万円控除の適用は可能なので、今年の措置法収用の改正との法律間の不都合への疑問は解消されることになります。

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遺族年金の生計維持要件

厚生年金保険加入中の死亡

 家族が亡くなった時、死亡した人に生計を維持されていた遺族は遺族年金を請求できます。例として厚年年金保険加入中の夫(43歳)が死亡、妻43歳、子10歳が残された場合で見てみます。

 夫が被保険者期間中の死亡の場合、遺族厚生年金が支給され、さらに子のある配偶者として遺族基礎年金も支給されます。

この両方を受けられる遺族は、被保険者が死亡した当時、死亡していた人に生計を維持されている必要があります。

生計維持要件とは

  • 生計同一要件

ア、住民票上同一世帯に属していること

イ、住民票世帯は異にしているが住所が住民票上同一である

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ウ、住所が住民票上異なっているが、現に起居を共にし、かつ消費生活上の家計を一つにしていると認められるとき。

のいずれかに該当していること

  • 遺族の収入要件は

ア、前年の収入が年額850万円未満

イ、前年所得が年額655万5000円未満

ウ、一時的な所得がある場合は、一時的な所得を除いた後、前年の収入が年額850万円未満又は前年の所得が年額655万5000円未満である。

エ、アからウの要件を満たさないが、定年退職などの事情により概ね5年以内に収入が850万円又は所得が655万5000円未満になることのいずれかに該当していれば収入要件は満たしています。

共働きで被扶養者でなかったとしても遺族厚生年金は受給できます。遺族基礎年金は死亡した人の子と生計を一にしている場合受給できます。

今回のケースでは両方が受給できます。

妻の遺族年金の将来は

 妻の遺族基礎年金は子がいることが前提ですが、子が18歳になった年度末の3月31日に達したときに消滅します。遺族基礎年金が消滅しても65歳になるまで中高年寡婦加算(年額58万6300円)が支給されます。遺族厚生年金は妻が再婚しない限り一生涯支給されます。ただし65歳になると妻の老齢厚生年金と老齢基礎年金が支給され厚生年金部分は調整されます。

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