雇用調整助成金特例措置の今後は?

一律支援から転換へ

 厚生労働省は休業手当を支払う企業支援の雇用調整助成金(雇調金)の特例措置を、5月以降は一律支給でなく経営状態や新型コロナウィルスの感染状況で差をつけると発表しました。現行の特例を一律で適用するのは4月末までとなります。

 雇調金は昨年春以降特例措置を何度も延長してきました。現行では1人当たりの上限額は1日15,000円。助成率(労働者に支払う休業手当に占める助成金の割合)は最大100%ですが、今年の5月からは支給基準を満たした企業以外は上限額1日当たり13,500円、助成率は90%になります。

 直近3か月の売上高などの生産指標が30%以上減少している経営難企業、「まん延防止等重点措置」が適用になる地域は5月以降も現行措置を続けられます。

新しい環境でも仕事を頑張ります!

 また、休業手当を受けていない非正規労働者に対する休業支援金も5月から支給内容が変更されます。現行は休業前賃金の80%で上限11,000円が9,900円になります。

人材の移動やデジタル時代教育訓練の提唱

 現行制度を一律で適用するのは4月までですが、必要以上に休業支援を続けると経済上の問題や人材の移動に悪影響を与えると言われています。

日本総合研究所では「雇用維持策は短期的には必要だが長期化すると経済全体の活力や新しい産業育成の阻害要因になる。新しい産業に人が移動できるよう労働政策を変えていくことが重要」と話しています。このことの背景には財政の厳しさもあります。雇用調整助成金の独自の積立金はすでになく、失業手当等に使う雇用保険の積立金を2兆円規模で借り入れをして、賄っている状態です。企業や労働者が払う保険料の引き上げは今年度はありませんでしたが、今後はあるかもしれません。

今後は新産業の育成の方向へ 雇用以外の分野でも支援の重点化は進みつつあります。中小企業に最大200万円を支給する持続化給付金とテナント賃料を補う家賃支援給付金は3月下旬までに約5.5兆円が給付済で、当面の支えは目的を達成したとされています。今後はコロナ後の社会に合わせた業態転換を促す「事業再構築補助金」の活用で1企業当たり最大1億円を用意し、新しい取り組みを始める中小企業を支援する方向です。

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令和3年度住宅ローン控除の改正

対コロナの限定延長が全体に適用へ

 令和3年税制改正で、住宅ローン控除が通常10年間適用のところ、13年間適用になりました。この適用を受けるには注文住宅の場合、令和2年10月~3年9月に契約したもの、分譲住宅等の場合、令和2年12月~3年11月に契約したもので、4年12月までに入居した住宅が対象です。

 今回の改正では令和2年度には要件としてあった「新型コロナウイルス感染症の影響」は含まれていないので、契約・入居の期間と住宅ローン控除の要件を満たしていれば、消費税率上昇に対する経済対策として設けられた特例と同様、13年間の控除が受けられます。

新設された40平方メートルのルール

 さらに従来「50平方メートル以上」だった床面積の要件が、「40平方メートル以上」に拡充されました。ただし、40平方メートル以上50平方メートル未満の住宅については、合計所得金額が1,000万円以下の方のみ適用となります。

 この新ルールでちょっと注意しなければならないのが、「床面積」の扱いです。床面積の算出方法には壁芯面積(壁の中心線から測定)と内法面積(壁の内側から測定)の2種類があります。分譲マンション等の場合、インターネットや販売チラシには壁芯面積の表示がされていることが多いため、広告では40平方メートルを超えているのに、住宅ローン控除適用要件である床面積を登記簿上記載の内法面積で見ると40平方メートルを下回る可能性もあります。内法面積が40平方メートルを超えないと住宅ローン控除が適用とはなりませんのでご注意ください。

控除率1%が問題視されている?

 今回の改正では、控除割合1%は従来と変わりませんでしたが、令和元年に出された会計検査院の指摘事項の中に「借入残高の1%を税額控除するのははたして妥当なのか。金利と比較すると恩恵を受けすぎている人が多いのではないか」といった指摘もあり、今後も低金利が続くようであれば控除割合の低下による制限が出てくる可能性もあります。今後の動きに注目です。

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