令和4年度・税制改正大綱 納税環境整備編

令和4年度税制改正(納税環境整備)

(改正1)税理士制度の見直し

1.税理士業務のICT化の努力義務

税理士は、業務のICT化等を通じて納税義務者の利便の向上等を図るよう努めるものとする規定が創設されます。

2.税理士試験の受験資格見直し

若年層の税理士試験の受験を容易にし、多様な人材確保を図るため、受験資格が緩和されます(会計科目の受験に、受験資格が不要となります)。

3.税理士法人の業務範囲の拡大

 税理士法人の業務の範囲に、①租税に関する教育の普及及び啓発、②後見人等の地位に就き、他人の法律行為の代理を行う業務が追加されました。

(改正2)領収書の電子保存義務化の猶予

 電子取引の取引情報の電子保存について、令和4~5年に行う電子取引でやむを得ない事情があると認められる場合には、経過措置が講じられることとなりました。

(改正3)記帳義務を適正に履行しない納税者等への対応

1.過少申告加算税等の加重措置

記帳義務を適正に履行しない納税者への過少申告加算税・無申告加算税については、通常の加重税額に申告漏れの税額(所得税・法人税・消費税)に次の割合を乗じた金額が加算されることとなりました。

記載が著しく不十分である場合(売上金額の1/2以上の記載がない場合)10%
記載が不十分である場合 (売上金額の1/3以上の記載がない場合)5%

(改正4)証拠書類のない簿価経費の必要経費不算入・損金不算入措置の創設

証拠書類のない簿外経費についての必要経費・損金不算入措置が創設されます。

(改正5)財産債務調書制度の見直し

提出期限を後倒しするなど提出義務者の事務負担の軽減を図るとともに、適正な課税を確保する観点から、特に高額な資産保有者については所得基準によらずに財産債務調書の提出義務者に加えられました。

(改正6)地方税務手続のデジタル化

eLTAX(地方税ポータルシステム)を通じた電子申告・申請の対象手続や電子納付の対象税目・納付手段が拡大されます。

令和4年1月1日より改正電子帳簿保存法が施行されます

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令和4年度・税制改正大綱 国際課税編

令和4年度税制改正(国際課税)

 経済のグローバル化に伴い、国際課税制度が大きな変革期を迎える中、令和4年度では次の改正が行われています。

(改正1)過大支払利子税制の見直し

「過大支払利子税制」とは、所得に比して過大な利子を支払うことによる租税回避を防止するため、支払利子のうち所得金額の一定割合(20%)を超える金額を損金不算入とする制度です。主に国外への支払利子等が対象となります。

今回の改正では、外国法人の法人税の課税対象とされる次の国内源泉所得に係る所得の金額についても適用対象となりました。

1.恒久的施設(PE)を有する外国法人 PE帰属所得以外の国内源泉所得 2.恒久的施設を有しない外国法人 国内源泉所得

(改正2)外国子会社合算税制の見直し

 外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)とは、軽課税国に所在し、実質的活動を伴わない外国子会社を利用した租税回避を防止するため、一定の条件に該当する外国子会社の所得を、日本の親会社の所得とみなして合算し、課税する制度です。

米国の保険業務では事務所を有せず、管理業務を外部に委託するケースが多いため、「保険会社又は保険持株会社」の保有割合100%の外国子会社は、この制度の対象外とされていました。今回の改正では、「保険会社又は保険持株会社」以外に、これらの会社に100%保有されている内国法人(例 国内中間持株会社)が海外保険会社に出資したケースも、合算税制の対象外となります。

(改正3)子会社株式簿価減額特例

 子会社からの配当(益金不算入)と子会社株式の譲渡を組み合わせた租税回避を防止するため、令和2年に設けられた当制度ですが、次の見直しが行われました。

1.適用除外要件(特定支配日利益剰余金額要件)の判定 期首から配当を受けるまでの期間に増加した利益剰余金額を直前期末の利益剰余金額に加算できるようになりました。 2.適用回避防止規定の見直し 適用除外基準を満たす子会社を経由した配当等を用いた本制度の回避を防止するための措置について、 一定の見直しが行われています。
国際課税問題への対応は喫緊の課題です!

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