営業権(のれん)の価値

昨今、後継者不在に悩む会社が社会問題化する中、M&Aは、会社を未来につなぐ原動力となります。営業権(のれん)の実体は、おぼろで測定や評価には馴染みにくいものですが、取得した事業を開始したその日から収益を生み、事業の価値が顕在化します。

営業権(のれん)の3つの概念

営業権(のれん)は、3つの概念で説明されています。

(1)超過収益力説

ある企業が同種の事業を営む他の企業の平均利益より大きな収益を稼得できる場合、その超過収益力の原因となるもの。

(2)差額概念説

企業買収決定金額から時価純資産価額を差し引くことにより求められる差額。

(3)営業機会取得説

繊維工業における織機の登録権利、許可漁業の出漁権、タクシー業のナンバー権など法令の規定、行政官庁の指導等による規制に基づく登録、認可、許可、割当て等の権利取得のために支出する費用。

税法の資産調整勘定は、差額概念説

法人税法では、事業やその主要な資産、負債が一体として移転する場合に、非適格合併等により交付した対価の額と、移転を受けた資産、負債の時価純資産価額との差額を、資産調整勘定又は負債調整勘定として表示します。これは上記の差額概念説に基づくものと言えます。

売買交渉時の評価は見積価格

相手先から買収する価格は、資産、負債を時価評価するほか、買収後、一定期間の営業利益や将来収益の現在価値(DCF法)などで算定されることがあります。買収側は将来の期待収益にリスクを加味して交渉に臨み、少しでも高く売りたい売却側との交渉で決まった買収価格は、将来収益の見積りであることに変わりはなく、買収後の実際の収益とは異なるものとなります。

買収した事業の本当の価値は?

一方、買収した事業は、稼働したその日から収益を生み始めます。承継した販売先や仕入先との契約関係、移籍した社員のスキルや経験、長年かけて築きあげた取引先との信頼関係、業務処理フロー、情報共有ツールなどの一つ一つが収益の源泉となります。実際のところ買収した事業の価値は、収益を伸ばそうとする社員の動機付けや、既存事業とのシナジー効果を発揮させる経営者の手腕によって大きく影響を受け、本当の価値はそこで決まると言えそうです。

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泡盛の酒税軽減は段階的廃止

沖縄の酒税軽減措置が段階的に廃止される

 令和4年度税制改正において、沖縄県産酒類に係る県内への酒税の軽減措置の段階的廃止が行われることとなりました。令和5年10月1日からビール等は20%から15%へと軽減率を変更、令和8年10月1日にビール等の軽減措置は廃止されます。また、泡盛については事業規模に応じて段階的に軽減が行われ、令和14年5月15日に軽減が廃止されます。

泡盛の酒税軽減措置の段階的な廃止

前年度課税移出数量R6年 5月15日~R8年 5月15日~R11年 5月15日~R14年 5月15日
1300kl超▲25%▲15%▲5%廃止
200~1300kl以下▲30%▲20%▲10%
200kl以下▲35%

沖縄復帰から続いてきた軽減措置

 沖縄に対する酒税の軽減措置は、昭和47(1972)年から始まった制度で、米軍統治下の税率が低かった上、産業基盤の弱さや消費者の所得を考慮し、徐々に本土の経済水準に合わせていこうという狙いでした。開始当時の酒税の軽減率は60%だったそうで、5年間の時限措置として導入していたものが、今まで連綿と改正を経て継続してきました。

なお、ガソリン税の軽減や各業態への支援や税制の優遇がある沖縄振興特別措置法については、令和4年度の改正で一部内容は変更されますが、継続して施行される予定です。

復帰50年を経て自立型経済発展を

 酒税軽減措置の段階的廃止については、復帰50年を迎えた沖縄の酒類製造業界から提言がなされたとされています。

 日本において沖縄は歴史的・地理的・社会的事情で特殊な立場にあります。本土と様々な違いがあり、独自の政策が必要不可欠です。ただ、今回の軽減廃止の経緯を見るに、平成14(2002)年から沖縄振興特別措置法に挙げた「沖縄の自立型経済の構築」については一定の成果が出ているのではないでしょうか。

「泡盛」の名前はすでに全国規模だし、海外にも輸出できる沖縄の名産品です。

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