査察制度とは
悪質な脱税者に対して刑事責任を追及し、その一罰百戒の効果を通じて、適正・公平な課税の実現と申告納税制度の維持に資することを目的としています。国税査察官は、近年における経済取引の広域化、国際化及びICT化等による脱税の手段・方法の複雑・巧妙化など、経済社会情勢の変化に的確に対応し、悪質な脱税者に対して厳正な調査を実施しています。
重点事案への取り組み
令和2年度は査察制度の目的に鑑み、特に、消費税事案、無申告事案、国際事案などの社会的波及効果が高いと見込まれる事案を重点事案として積極的に取り組みました。
(1)消費税事案
消費税に対する国民の関心が極めて高いことを踏まえ、消費税事案については積極的に取り組み、令和2年度は18件を告発しました。また、消費税の輸出免税制度を利用した消費税不正受還付事案は、いわば国庫金の詐取ともいえる悪質性の高い事案であることから、引き続き積極的に取り組み、令和2年度は9件を告発しました。
(2)無申告事案
納税者の自発的な申告・納税を前提とする申告納税制度の根幹を揺るがす無申告によるほ脱犯について取り組み、令和2年度は13件を告発しました。
また、単純無申告ほ脱犯を適用した事案は7件を告発しました。
(3)国際事案
経済社会のグローバル化の進展に伴い、個人・企業による国境を越えた経済活動が複雑・多様化する中、国際的な脱税への対応が求められています。このような状況の中、消費税の輸出免税制度を悪用した消費税不正受還付事案や海外に不正資金を隠すなどの国際事案に積極的に取り組み、令和2年度は過去5年で最多の27件を告発しました。
不正資金の留保状況及び隠匿場所
脱税によって得た不正資金の多くは、現金や預貯金として留保されていましたが、その他に、不動産、有価証券、暗号資産及び高級車両の取得費用並びに海外カジノを含むギャンブル等の遊興費に充てられていた事例もみられました。
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税理士高野好史事務所(栃木県宇都宮市)
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