「適用実態調査」とは何か

租税特別措置の適用実態調査は、財務省が、措置法の利用状況を毎年国会に報告しているものです。制度の効果や課題を検証するための基礎データとして位置付けられているものです。最新のものは、令和8年2月付の「令和6年」版です。

税額控除へのシフト

印象的だったのは、特別償却と比較して税額控除の利用が7倍近くと圧倒的に多い点です。特別償却が課税の繰延べであるのに対し、税額控除は事後年度に尾を引かない、からでしょうか。

利用されていない制度

同報告書から、M&Aに関連する中小企業事業再編投資損失準備金については、経済活動としてのM&Aの実績件数(R7年5115件)に対し、その適用件数が110件(R5年77、R4年69)と極めて少数です。適用総額を件数で割って0.7で割ってみると、平均2.5億円程度のM&A案件であることが分かります。本措置は5年後からの益金算入があり、適用での認可制度、事後報告制度と煩雑なので、適用が躊躇されているのかもしれません。

広く利用されている制度

一方で、賃上げ促進税制は、R6年度で30万社近くが利用しており、税額控除適用額も1兆円近くと、税額控除適用制度の中の半分近くを占める制度になっています。

 広く浸透している制度なので、何年か前までは、適用失念の申告書提出により、税理士損害賠償事件となった事例が多く、税賠訴訟の中のトップの位置にありました。

制度の「終わり方」という視点

利用が広がることはそのまま税収減につながるため、制度が普及した段階では、見直しが検討されるということも有り得ます。

令和8年度税制改正で、賃上げ促進税制の、①大企業向けの1年前倒しでの廃止、②中堅企業向けの要件強化の上でR9.3.31の期限で廃止、③中小企業向けの教育訓練費上乗せ措置の廃止、となったのも、その例です。

特措法には、期限の定めのあるものとないものがあり、M&A税制には、中に、あるものとないものが混ざっています。

利用頻度が低い制度は、適用期限の到来をもって廃止、との措置が毎年採られています。もしかすると、M&A促進税制は、利用頻度の低い制度との判定を受けるかもしれません。

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税理士高野好史事務所(栃木県宇都宮市)

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