e-Taxしないが65万円控除は受けたい

 令和2年分以後の所得税について、青色申告特別控除の適用要件が改正され、65万円の青色申告特別控除の適用を受けるためには、それまでの要件に加えて、e-Taxによる申告か、電子帳簿保存を行うことが必要になりました。

 個人事業主の方の中には、「e-Taxができない」という方がいらっしゃるかもしれません。今回は、電子帳簿保存で65万円控除を受ける場合の手続きを解説してみます。

改正もあるがあまり変わりなし

 電子帳簿保存法については、令和4年1月1日から適用される改正があり、これまで電子的に作成した国税関係帳簿を電磁的記録により保存する場合には、事前に税務署長の承認が必要でしたが、事業者の事務負担軽減のために、不要とされました。

 ただし、この「事前承認不要」はあくまで電磁的記録による保存を開始する場合の話で、65万円の青色申告特別控除の適用を電子帳簿保存によって受けたい場合は「国税関係帳簿の電磁的記録による保存等の承認申請書」を提出する必要があります。

 また、一般的な電子帳簿保存については正規の簿記の原則に従って記録されるものであれば、最低限の要件を満たす電子帳簿についても電磁的記録による保存がOKとなったのですが、65万円の青色申告特別控除の適用を受ける場合については「優良な電子帳簿」の要件である、検索要件や帳簿間の相互関連性の確認など、より高度な措置が必要となります。

過少申告加算税5%軽減のため?

 電子帳簿保存法に適合する優良な電子帳簿を作成するのに比べ、インターネット環境とマイナンバーカードくらいの準備でe-Taxはできます。65万円の青色申告特別控除の適用を受けるための選択としては、e-Taxを行う方が圧倒的に楽です。

青色申告特別控除の要件とは別に、今回の改正で「優良な電子帳簿」の保存要件を満たしていれば、記録された事項についての申告漏れに課される過少申告加算税が5%軽減される措置が受けられるので、そちらを受けようとする場合には申請を行う、くらいの気持ちで良いのかもしれません。

これまでに承認を受けて保存等していた場合でも、過少申告加算税5%軽減の適用を受けるためには、申請書の再提出が必要ですのでご注意ください。

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