なぜ「パワハラ」の処分決定が難しいのか

 パワハラには大きく分けて2つの類型が考えられます。1つは純粋ないじめ目的などの悪質なもの。もう1つが通常の業務等に付随して(少なくとも行為をする本人は)部下のためを思って行った熱心な指導が行き過ぎた行為になってしまった場合です。

前者については、就業規則等における懲戒処分によって厳格な処分が行われるべきでしょう。一方、後者の場合には、安易に懲戒処分を行うことにより、その後その上司など行為者が、会社への貢献意欲を喪失したり、自暴自棄となり前者の行為に走ってしまったりすることも考えられます。

さらに、問題を難しくするのが、その決定した処分の内容が、行為を受けた者にとっても納得できるものでなければなりませんから、温情だけで決定してよいとも限らないことです。

パワハラ処分の一般的基準

 自社内でパワハラ行為があった場合の懲戒処分等について軽重を含む相当性の判断は、当然に各種個別の事情の総合考慮になりますが、一般的に考慮すべき事情の代表例は下記のとおりです。

  • 行為の態様

暴行等を伴うか、暴言の場合はその内容、頻度、回数、継続期間の程度等

  • 被害の程度

負傷の有無、精神疾患等の重篤な被害の有無、退職者の有無、職場秩序侵害の程度等

  • 行為の目的や行為に至る経緯

指導目的なのか、いじめ等の不当の目的か、被害者側の落ち度や問題行動の有無、従来からの加害者と被害者の人間関係等

  • 反省の意思、被害者への謝罪の有無
  • 行為者の職責

管理職等ハラスメントを防止する職責(立場)にあるか否か

  • ハラスメント防止の教育や指導を受けたことがあるか
  • 行為者の過去の処分歴の有無
  • 同種事案の場合における他の労働者に対する懲戒処分の内容とのバランスを考慮する
まずは、事実関係の把握が、何よりも大切になります

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税理士高野好史事務所(栃木県宇都宮市)

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