個人住民税の給与からの特別徴収制度
給与の支払いをする際に所得税を源泉徴収して国に納付する義務がある事業主は、原則として、個人住民税についても特別徴収をして納付する必要があります。給与所得者の個人住民税は原則として特別徴収の方法によるものとされ、従業員の希望で普通徴収を選択することはできません。
この特別徴収制度は従前からある規定でしたが、制度の周知が十分でなく、徹底が図られていない状況にあったこともあり、これまで特別徴収は義務ではないと認識していた事業主も少なくありませんでした。しかしながら、東京都と都内区市町村による平成29年度からの特別徴収の徹底のための広報・周知活動で、いまではこの義務がほぼ浸透しています。
途中入社の従業員分の特別徴収
年の中途に従業員が入社した場合、その者についても給与から特別徴収をしなければなりません。なお、1月1日から4月30日までに退職し未徴収額がある場合は、前の勤務先において一括徴収しなければならないことになっています。それ以前の日にちでの退職では、前勤務先からの給与所得異動届出書の「転勤等による特別徴収届出書」に追記して自治体に提出し、自社で給与からの徴収を開始(=特別徴収を引き継ぐ)します。
前の勤務先から次の勤務先への就職に間隔が開くこととなる場合、その間の個人住民税は、一括納付された場合を除き、普通徴収(=納税者が自分で納付する)に変わります。そして、その後、新たに就職した場合に、新しい勤務先で特別徴収されることとなるのですが、途中入社の従業員分の特別徴収手続きは、事業主の手間が増えることも相まって、従業員からの申し出があるまで放置しているという状況も少なくないようです。特に、1月1日以降に入社した従業員の前年分の給与支払報告書は前の勤務先から提出され、新しい特別徴収決定通知書も前の会社に送付されて適切な手続きが遅れがちです。
とはいえ、事業主の義務ですので、適時に必要な手続きをすべきです。
入退社のタイミングで手続きは面倒です
必要な特別徴収や異動の届出書は入退社のタイミングに左右され結構煩雑です。会計事務所や地方自治体に問い合わせをしながら適切に処理してください。
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税理士高野好史事務所(栃木県宇都宮市)
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