メールでの退職届もへっちゃら!
インターネットでの業務が常態となっている環境下では、前触れもなくメールで退職届を送りつけて出社しなくなってしまう事態も起きているようです。こんな振る舞いをされたら、せっかく時間と費用を掛けて採用していたとしても、会社側としても引き留めには動かないことになるでしょう。
社員が入社したら社会保険や労働保険の加入手続きをします。退職したら脱退手続きをすることになります。同じ月に同一人物の入退社があった場合、なかったことにして何もしなくともよいのでしょうか?
同月得喪の場合の社会保険料
同じ月に社会保険の資格取得と資格喪失が発生することを同月得喪といいます。
(注)社会保険の資格取得日は入社日であり、資格喪失日は退職の日の翌日です。そのため、入社した月の月末に退職した場合は同月得喪とはなりません。
社会保険の保険料が発生するか否かは、原則として月末時点で被保険者資格があるかどうかで判断します。月末退職の場合は退職月の分の社会保険料まで発生しますが、月末よりも前の日までに退職すると退職日を含む月の社会保険料は発生しません。しかしながら、同月得喪では、月の途中の退職でもひと月分の社会保険料が発生します。社会保険に日割りの考え方はありませんので、たとえ一日の在籍でも、会社と社員で社会保険料がひと月分折半負担となります。
同月中に次の会社で資格取得等の場合
同月得喪の人が同じ月のうちに次の就職先で社会保険の資格取得をしたり、就職せずに国民年金保険への資格変更手続きをしたりした場合には、先に喪失した厚生年金保険料の納付は不要となります。この場合年金事務所から先に喪失した会社に厚生年金保険料が還付されます。本人負担分も本人に返還されることになります。これは同じ月に対応する年金保険料の二重払いがなされないようにするための手続きです。
なお、上記は年金保険料の話であり、健康保険料(介護保険料を含む)は還付されません。
また、雇用保険料や源泉所得税は、支給された給与額に基づいて計算されるものですので、やはり次の資格取得等による、還付という制度はありません。
給料の日割り計算額より本人負担の社会保険料が多くなった場合の徴収や厚生年金保険料の返金などに備え、退職後も連絡手段は確保しておきましょう。 |
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税理士高野好史事務所(栃木県宇都宮市)
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