交際費一部認容の地裁判決

 交際費を巡る訴訟事件の東京地裁判決が令和5年5月12日にありました。これは、京橋税務署員による実地調査を受け、交際費計上した飲食等代金の一部が損金算入交際費に当たらないと指摘され、法人税等の修正申告書を提出した後に、その指摘された内容を不服として更正の請求をしたところ、更正をすべき理由がない旨の通知処分を受け、その通知処分の取消しを求めて係争に及んだ事案でした。判決の結果は、納税者の主張の一部認容でした。

判決の事実認定によると

 ところで、判決の認定事実によると、本件実地税務調査の結果、本件税務署員は、原告法人が支出した飲食等の代金のうちの交際費非該当金額が損金不算入であると指摘し、当該否認額相当額を原告代表者に対する貸付金として処理し、貸付金に係る受取利息の金額を所得計上して、修正申告するように促しています。また、税務署員は、金銭消費貸借契約書のひな型を持参交付し、原告納税者は、これを用いて金銭消費貸借契約書を作成し、これに押印し、併せて、税務署員の指示を踏まえて、金銭消費貸借契約書の内容に沿って議事録を作成し押印しています。

否認交際費は役員貸付金の合理性

 判決は、この金銭消費貸借契約について、税務署員が本件否認額を原告代表者に対する貸付けとして振り替えるよう促したこと自体は、本件否認額が交際費に該当しない以上、これを原告法人代表者に対する役員給与とするか、そうでないのであれば原告代表者に対する役員貸付けになると解されるから、一定の合理性がある、とその契約成立の有効性を認定しています。

 この判決では、交際費非該当の場合の振替税務処理について、役員給与や役員貸付金など複数存在するものとしており、それらの区別について触れておらず、どちらでも良いとの立場のようです。判決での税務署員は、貸付金処理に積極的でした。

給与課税は選択肢の一つ

 役員給与だったら、損金不算入の上、所得税についても源泉徴収の対象となり、ダブルパンチになりますが、事後的に法人と役員との間で金銭消費貸借契約を締結するならば、否認費用は役員貸付金に税務振替えされるので、ダブルパンチにならなくて済みます。

税務調査での賞与課税を拒否する主張の根拠が出てきた。

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