「賞与」の欄の消滅
法人税申告書別表四の右上の欄は、利益処分で社外流出となる事項について記載する場所です。そこには「配当」「その他」の2区分が用意されています。2区分になったのは、平成18年からで、平成17年以前は、3区分でした。平成17年以前は、利益処分による役員賞与の実務慣行が定着していましたが、会社法で役員賞与を役員報酬と共に職務遂行の対価として整理し、利益処分賞与規定自体を無くし、法人税法で事前確定届出給与の制度を整備したことに伴い、別表四から、「賞与」の欄が消滅しました。
「その他」の欄の対象項目
ところで、この「その他」の欄に記載することになるのはどんな場合なのでしょうか。旧来風の利益処分賞与を支給するとした時には、今は「賞与」欄がないので「その他」に記載することになるのは推測できます。利益処分寄附金なども、「その他」の欄の記載になります。なお、別表四の「配当」「その他」の欄は、そもそもが利益処分項目でかつ社外流出となる事項を記載する欄なので、利益処分事項であっても、金銭支出や財産減滅を伴わない準備金や積立金などはここでの記載対象事項にはなりません。
こんな場合には
現金過不足などの経理上の不突き合いは、通常は雑費や雑損などの科目で損金経理しますが、金額が少額でなく、その不突き合いの解明が将来的にも困難で、その原因が経理の不明朗さの顕著さにある場合などで、損金経理が憚られるとして繰越利益剰余金を相手勘定として経理処理した場合では、資産負債の増減を伴う社外流出利益処分として、「その他」の欄に記載することになります。
別表四と五の牽制を介して
社外流出の利益剰余金は会計処理を経由して別表五(一)の繰越利益剰余金に連動します。
別表四での利益処分以外の欄の記載でも、「社外流出」欄に記載するものがあります。「留保」欄に記載されるものが別表五(一)への連動事項になるのに対して、「社外流出」欄に記載されるものに対しては、税務と会計との益金損金取扱いの相違の調整処理をするだけで、会計処理の結果としての繰越利益剰余金の額をそのまま受容し、別表五(一)への特別な記載を不要とします。利益処分での社外流出と同じ取扱いです。
法人税申告での特殊な社外流出は厄介 |
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